【マレーシア】パナがコンデンサー事業拡大[製造] ハイブリッドタイプ生産、海外初

パナソニックインダストリーが生産するハイブリッドアルミ電解コンデンサー。マレーシアでも生産ラインを立ち上げる計画だ(同社提供)

パナソニックインダストリーが、マレーシアで車載の電子制御ユニット(ECU)などに使われるハイブリッドアルミ電解コンデンサーの生産を計画していることが27日までに分かった。海外で同製品を生産するのは初めてとなる。旺盛な需要を背景に、日本国内の工場はフル生産に近い状況となっており、コスト競争力を強化するため東南アジア諸国連合(ASEAN)でも生産に乗り出す。

ハイブリッドアルミ電解コンデンサーは、電解質に導電性高分子と電解液を融合させたコンデンサーで、小型で高い信頼性が求められる、自動車関連の機器や通信基地局などでの使用に適している。

パナソニックインダストリーは、2023年度内に現地法人パナソニックデバイスマレーシアがスランゴール州シャアラムで操業する工場に生産ラインを設ける計画。同工場では別の種類のコンデンサーなどを生産しており、既存拠点を活用する形となる。同工場で手がけるスイッチといったコンデンサー以外の製品の生産を日本国内など他拠点に集約することで、ハイブリッドアルミ電解コンデンサーの生産ラインの設置場所を確保する計画だ。

パナソニックインダストリーは現在、山口市の工場でハイブリッドアルミ電解コンデンサーを生産しているが、フル生産に近い状況となっている。

同社の広報担当者は、「ハイブリッドアルミ電解コンデンサーの市場拡大を背景に、日本国内での生産増強に加え、ASEANで生産することによりコスト競争力を強化するためにマレーシアでの生産ライン設置を決定した」と説明。向こう3年間の需要拡大を見込んでおり、マレーシアで生産する同製品は、世界中に出荷する予定だという。

同社は、24年度にハイブリッドアルミ電解コンデンサーの生産能力を22年度比で約2倍に増強する方針を示している。

■マレーシアで生産体制再編

パナソニックグループは、グループ全体の市場競争力強化に向けて、マレーシアで生産体制の再編を進めている。

パナソニックは先月下旬、パナソニックアプライアンス冷機デバイスマレーシアがマラッカ州で操業する冷蔵庫用コンプレッサーの工場を来年6月で閉鎖し、従業員約600人を解雇すると発表。今月に入り、パナソニック・マニュファクチャリング・マレーシアがスランゴール州シャアラムで操業する工場でも2つの製造部門を閉鎖したと表明した。

また、来年3月末までにパナソニックAVCネットワークス・ジョホール・マレーシア(PAVCJM)がジョホール州で手がけるオーディオ製品の生産をパナソニックAVCネットワークス・クアラルンプール・マレーシア(PAVCKM)へ移管することも明らかにした。

デジタルビデオカメラの生産ラインについては、来年9月末までに中国の生産子会社パナソニックAVCネットワークス・厦門(PAVCX)へ移管する。パナソニックAVCネットワークス・ジョホール・マレーシアの生産体制の見直しにより、従業員約880人を解雇する見通しだ。

© 株式会社NNA