中世・佐竹一族の史料60点展示 7月9日まで 茨城・常陸大宮市歴史民俗資料館 初代当主肖像画を初公開

佐竹一族の小場氏の初代当主・小場義躬の肖像画

「佐竹一族と中世の常陸大宮」をテーマにした企画展が、茨城県常陸大宮市中富町の同市歴史民俗資料館で開かれている。7月9日まで。同市の小場地区を所領としていた佐竹一族の小場氏の祖・小場義躬(よしみ)の肖像画など茨城県内初公開のものもあり、見どころが多い。

展示会は「常陸大宮市史 資料編2 古代・中世」が4月に刊行されたのを記念して開催。市域に生きた佐竹一族に関する史料を実物や写真パネルで紹介している。史料約60点のうち、半数は秋田県の公文書館や大館郷土博物館の所蔵で、ほとんどが茨城県内初公開だ。

目玉は、小場城の初代当主である小場義躬の肖像画。佐竹西家(秋田)の旧蔵資料で、同博物館が管理しているが、一般公開は秋田県大館市に続き2回目となる。

中世にさかのぼる佐竹氏の肖像としては、当主の佐竹義宣が知られているが、一族の当主の肖像が発見されるのは初めて。正徳5(1715)年、小場氏の家臣が主家の由緒を調査するため、小場を訪れ、菩提寺や旧臣の所蔵する古文書を調べる中で閲覧し、修復を申し出て借り出されたとみられる。秋田に渡っていたため、約300年ぶりに常陸大宮市に里帰りした。

また、戦国時代の1529~40年に同市中心部にあった部垂城を舞台に起きた佐竹氏の内乱「部垂の乱」で、実兄である本家の佐竹義篤に敗れ、自害した部垂義元の自筆とされる和歌も展示。佐竹義宣が小場氏の最後の当主に宛てた自筆書状も初公開されている。

市文化スポーツ課文化振興グループは「秋田に移った佐竹氏の文化財をたくさん展示していて、そのほとんどが茨城県内初公開。特に地域との関わりが明確に分かる企画展なので、多くの人に見てほしい」と話す。

午前9時~午後4時半。入場無料。月曜休館。土曜日午後2時から30分程度、展示解説がある。同資料館(電)0295(52)1450。

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