茨城・笠間市が学習塾開設 岩間地区の小学校、週2回 NPO連携 算数、自力思考養う

マッチ棒を使った図形の問題に思考を巡らす児童たちと、講師の佐々木康喬E-nnovation理事長(左)=笠間市市野谷

茨城県笠間市は、教育関連のNPOと連携し、市内の岩間地区の小学校をモデル校とする学習塾を開設した。4~6年生を対象に、希望者を募り、週2回の放課後、1回50分の算数の講座を、年度内に計80回開く予定だ。子どもたちが自力で思考し、答えを導き出す体験を重ねる中で、算数が好きになるように促し、学力向上につなげる狙いだ。

塾の開設は、同市教委が本年度の新規事業「学力向上支援事業」に位置付けて取り組む。NPO法人「E-nnovation(イノベーション)」(同県ひたちなか市)に業務委託し、同法人独自のカリキュラムで講座を提供する。講師は、同法人の佐々木康喬理事長(40)が当たり、教員志望の大学生がサポートする。

開講日は、月曜と金曜。会場は岩間三小(笠間市市野谷)の自習室を利用するが同小の児童だけでなく、岩間一小、岩間二小の子どもたちも受講できる。同じ日に同じ教室を使い、学校ごと(三小、一小・二小)に時間をずらし、2部制(各定員40人)で実施する。

講座の中身は「学力向上プログラム」だけでなく、「人間力プログラム」との2本立てが特徴。前半は「将来を切り拓(ひら)く力」を養うレッスン、後半に思考力や発想力を働かせる算数の問題に挑戦する。

同法人は、小学館系の塾の講師などを経て、県内の予備校で校舎長も務めた佐々木氏が独立し、昨年6月に立ち上げた。佐々木氏は、「収入格差が教育格差を生む状況に危機感を感じる。学校と連携し、子どもたちにより良い教育環境を提供する役割が果たせれば」と法人設立の動機を語った。

6月16日、報道機関向けに公開された講座では、前半30分を使い、米の教育番組「セサミストリート」のキャラクターが登場する教材画像を活用しながら、「夢を描く」「計画を立てる」「行動する」の三つが大切と教えた。後半20分では、マッチ棒を使って形作られた図形・図像を、そのうちの3本を動かして、別の図形・図像に変える問題を考えさせた。子どもたちは数人ずつのグループの仲間たちと、競うように試行錯誤を繰り返した。

岩間三小の児童が参加した講座では、五十嵐結人君(10)ら5年生の4人のグループのメンバーが、「頭をほぐすみたいな(体験)」「分かるとすっきりする」「ためになる」などと感想を話した。

市教委の担当者は「自由な発想で、友達と話し合いをしながら思考力や発想力、表現力を養えるのではないか」、別の担当者は、人間力プログラムの部分を指して「何のために学ぶのかを考える。キャリア教育にもつながる」と今後の成果に期待した。

© 株式会社茨城新聞社