「水素トラック」実証走行 トナミ運輸・北酸など、25年度市販化目指す

とやま南水素ステーション構内を走る水素エンジントラック=富山市栗山

 水素が原料で二酸化炭素(CO2)を排出しない「水素エンジントラック」の実証走行出発式が27日、富山市栗山のとやま南水素ステーションで行われた。トナミ運輸(高岡市)や北酸(富山市)などでつくる研究グループが、市販の中型トラックを水素エンジン車に改造。今後県内で走行試験を重ね、早ければ2025年度の市販化を目指す。

 物流業界では、自動車の脱炭素化に向け、電動化が難しいとされるトラックなどの重量車両の対策が課題となっている。トナミ運輸、北酸と東京都市大、低公害車製造のフラットフィールド(神奈川)、早稲田大アカデミックソリューション(東京)は2021年8月、環境省の「既販中型重量車の水素エンジン化事業性検証プロジェクト」に参画し、共同研究を開始。市販トラックのエンジンをCO2を出さない水素エンジンに改造し、ディーゼル並みの出力を得ることに成功した。

 走行試験は今月中に始める。トナミ運輸が、実際に荷物を積んだ水素エンジントラックを富山市や射水市で走らせ、300キロを目標とした航続距離や、適正な積載量などを検証する。プロジェクトは23年度が最終年度。

 出発式で、事業者を代表して東京都市大の野中謙一郎副学長があいさつし、藤井裕久市長らが祝辞を述べた。トナミ運輸の高田和夫社長は「貨物輸送のデータを積み重ね、商用化に向けた一歩としたい」と強調した。関係者によるテープカットの後、水素エンジントラックが同ステーション構内を走行した。

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