夏の甲子園県予選特集 注目校紹介(1) 真っ向勝負で頂点を目指す大分商業 【大分県】

高校球児の熱い夏がやってきた。憧れの甲子園を目指し、第105回全国高校野球選手権の県予選が7月8日に幕を開ける。大会序盤から激戦は必至、実力伯仲のトーナメントの頂点に立つのはどのチームなのか。大会を前に、優勝候補となるシード校を紹介する。

第1回は春夏連続で甲子園出場を目指す大分商業だ。

今春のセンバツ甲子園に出場し、選手の目の色が変わった。那賀誠監督は「野球に取り組む姿勢、考え方が明らかに違う」と話す。大振りをせず、バットを短く持って次の打者につなぐ。打てなくてもファウルで粘る。たとえ凡打になってもアウトになるまで全力で走る。プレーだけではない。練習から手を抜いていれば、互いに指摘し甘えを許さない。「ガムシャラにプレーすることがかっこ悪いとの思いがなくなった」(那賀監督)のは、甲子園の大観衆が一つ一つの全力プレーに対し、惜しみない大きな拍手を送ってくれたからだ。初戦で敗退したが、「また甲子園に戻って来いよ」との声は選手たちの心に大きく響いた。

新チームになってから続ける肉体改造も成果が出ている。練習前におにぎりなどの糖質を取ることを徹底し、週2回、外部トレーナーが考案するメニューをこなすことで、体重増とともに筋質量が増えた。基礎体力が格段に上がり、スイングスピードの向上は、強い打球と飛距離を伸ばした。渡辺公人(3年)と豊田顕(同)の1、2番コンビは好調を維持し、今大会も高打率でチャンスを広げる役割を担う。長打を打てるようになった大道蓮(同)、本塁打を量産できる羽田野颯未(同)の主軸は勝負強さが増し、打線をけん引する。

チームの核弾頭・渡辺公人

投手は登録メンバーに4、5人が入る予定で、安定感抜群の児玉迅(3年)と球速のある飯田凜琥(同)に、成長著しい松木翔和(同)が核となる。那賀監督は「夏の大会は一人のピッチャーに負担をかけたくない。疲労を残さず、ビッグイニングをつくらないこと」と継投で3点以内に抑えて試合をつくる構えだ。児玉は「チームが勝つピッチングをするだけ」と最小限に球数を抑え、「打たせて取る」省エネピッチングで試合をつくることに重きを置く。

投打ともに戦力は整い、春夏連続で甲子園出場を目指す。第1シードであるが挑戦者の思いは強く、小細工なしの真っ向勝負を挑む。「勝ちたい思いは、これまでの大会とは比較にならない。一戦一戦を学びの場として成長したい」(渡辺)と慢心はなく、勝利への執念は日を追うごとに増すばかり。「甲子園に帰る」を合言葉に10年ぶりの夏の甲子園を目指す。

選手を支えるマネージャー

(柚野真也)

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