小児マル福、対象拡大 所得制限、全市町村で撤廃 茨城県内

茨城県

医療費を一部助成する小児医療福祉費支給制度(小児マル福)の対象世帯への所得制限が2023年度、茨城県内44市町村全てでなくなる見通しとなった。これまで残っていた4市町で制限が撤廃される。少子化や人口減少に歯止めをかけようと、市町村は全ての子育て世帯へ支援を拡充する。

小児マル福は医療機関を受診した際、市町村が一部負担金を助成する制度。受給者証を示せば、医療機関ごとに、外来1日600円(月2回上限)、入院1日300円(月3千円上限)の自己負担で医療を受けることができる。

県は外来が小学6年生まで、入院が高校3年生までを対象に、市町村経費の2分の1を助成している。

県によると、各市町村は段階的に独自の支援策を上乗せし、県内43市町村で入院だけでなく、外来の対象も高校3年生までとしているほか、境町では20歳まで引き上げている。

所得制限は4月現在、県内40市町村で撤廃。残る4市町についても、7月に笠間市、10月にひたちなか、常陸大宮、茨城の3市町がそれぞれなくす方針を決めたことで、所得制限の撤廃が全市町村に広がる見通しとなった。

笠間市保険年金課は「子育て支援強化の一環。所得にかかわらず、等しく支えていく」と説明。茨城町保険課も「全ての子育て世帯の医療費負担を軽減し、少子化に歯止めをかける一助にしたい」と話す。

一部の市町村では、自己負担金も支えている。県のまとめによると、高校3年生までを対象とする市町村は4月現在、外来は11市町村、入院は12市町村で自己負担金を全額支援。外来、入院ともに負担金を支援しているのは日立市や北茨城市、かすみがうら市など9市町村だった。

県国民健康保険室によると、全国で小児マル福の対象が高校3年生まで引き上げられているのは、茨城県を含めて6県にとどまる。同室は「全国的に見ても、茨城県はマル福導入の水準は高く、充実しているといえる。引き続き、より良い支援の在り方を検討したい」としている。

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