3カ月前の祖母の言葉が浮かんだ孫、同じコンビニで働き相次ぎお手柄 感謝状に「こんなこともあるんやな」

感謝状を受け取った栗田優斗さんと芳江さん=神戸市中央区脇浜海岸通3

 神戸市中央区にあるコンビニが3カ月のうちに2度、特殊詐欺の被害を未然に防いだ。いずれも接客したアルバイト店員が、電子マネーカードを購入しようとする来店客に気を配り、粘り強く詐欺の可能性があることを伝えたからだ。兵庫県警葺合署は計2人の店員にそれぞれ感謝状を贈ったのだが、実は、立て続けに被害を防いだのは祖母と孫だった。家族で詐欺の手口の話をしていたことが役に立ったという。(大高 碧)

 コンビニは、同区脇浜海岸通3のファミリーマート神戸脇浜海岸通店。もともと祖母の栗田芳江さん(64)が先に働いており、バイトを探していた孫優斗さん(18)も同店に決めた。

 同署によると、芳江さんは今年1月11日午後、電子マネー3万円分を購入しようとした男性(76)に「大丈夫ですか」と声をかけた。特殊詐欺の可能性を感じ、警察への相談を促したことで被害を防ぐことにつながった。同月、署から感謝状を贈られた芳江さんは、自身の経験を同じ店で働く優斗さんに話し「気をつけや」と注意を促した。

 すると、4月10日午後8時ごろ、レジ業務をしていた優斗さんの前に、電子マネー5万円分を購入しようとする男性(85)が現れた。頭に浮かんだのは、祖母の言葉。詐欺を疑い「何に使うんですか」と尋ねた。男性が「パソコンがウイルスに感染し、修理に必要」と不安げに答える様子に、優斗さんは「やっぱり怪しい」と感じ、警察への相談を提案した。

 男性はそのまま帰ったが、30分後に戻ってきた。再び電子マネーを購入しようとする男性に対し、優斗さんは諦めずに説得を重ねた。それで、ようやく男性が署に相談へ行ってくれることになったという。

 相次いで感謝状を受け取った祖母と孫は「こんなこともあるんやな」と口をそろえ「これからも声かけを続けたい」と気を引き締めた。

© 株式会社神戸新聞社