別府市、性的少数者の共同浴場利用をテーマに初会合 法令学び次回具体案【大分県】

トランスジェンダーの共同浴場利用が議題の初会合に出席する参加者たち=27日、別府市役所

 【別府】別府市は27日、体と心の性が異なる人「トランスジェンダー」の共同浴場利用が議題の会合を初開催した。市営温泉の担当課長ら幹部がLGBT(性的少数者)の団体などを招き、性自認の基礎、関係法令などを学んだ。誰もが温泉を楽しめる「別府方式」(長野恭紘(やすひろ)市長)の具体案を次回の会合(7月13日)で出し合うことを決めた。

 LGBTに関わる課題全般を話し合う市のワーキンググループのうち温泉部会の会合。市役所であり、計14人が参加。市旅館ホテル組合連合会、市観光協会、別府八湯温泉道名人会も招かれた。

 参加者は県公衆浴場法施行条例の「脱衣室と浴室は男女を区別する」「家族風呂は例外」といった規定を確認。市温泉課は「市営温泉の管理運営の大前提。男女は身体的な性で判断している」などと説明した。

 非公開で意見を交換。参加者によると▽立命館アジア太平洋大(十文字原、APU)には性別にかかわらず利用できるトイレ、シャワー室がある▽貸し切り湯を表す「家族風呂」の呼び方は全国では一般的でなく「家族ではないが入れるか」との問い合わせがあった―などの声が出た。

 参加したLGBTの団体はAPUの学生でつくる「APU Colors(カラーズ)」。元井雄代表(20)=3年・亀川中央町=は男性の体で生まれ、性自認が特定の枠に属さない「クエスチョニング(Q)」。信頼関係のない他人の前で体をさらすのが怖く、入学で別府に来て以来、温泉に漬かったことがない。

 LGBTなど性的少数者への理解増進法(23日施行)の国会審議の過程で交流サイトなどに間違った情報が出回ったといい、「行政の情報発信、態度表明はありがたい。トランスジェンダーもそうでない人も誰もが温泉を楽しめる理想に向け、議論していくことは大切だと思う」と話した。

 市は来月下旬に最終会合を開き、取り組みの方向性を出す方針。

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