「M-1グランプリ2023」開催決定! 昨年王者・ウエストランド「好きなようにやればいい」と激励

全国の漫才師の中から漫才日本一を決める「M-1グランプリ2023」の開催記者会見が行われ、昨年王者となったウエストランドをはじめ、オズワルド、キュウ、ダイヤモンド、ヨネダ2000、ロングコートダディの昨年のファイナリストや、ななまがり、ビスケットブラザーズ、ママタルト、シンクロニシティら今年の有望株が登壇。司会は麒麟・川島明と斎藤真美アナウンサーが務めた。

「M-1グランプリ」は2001年にスタートし、今年で19回目を迎える。昨年は、史上最多を大幅に更新する7261組がエントリー。これまで以上に激しい戦いが繰り広げられた予選では、ファイナリスト経験者たちが続々と敗退し5組が初の決勝進出を決めるなど、新しい世代の躍進が目立つ波乱の大会となった。そんな中、恐れを知らぬ毒舌漫才で激戦を制し、漫才師の頂点へと駆け上ったウエストランドが優勝を果たすこととなった。

今回も予選は1回戦、2回戦、3回戦、準々決勝、準決勝の5回だが、予選のルールが一部変更に。前回まで準決勝進出組に与えられていたシード権が準々決勝進出組に拡大。これにより、昨年準々決勝まで勝ち進んだ100組超が1回戦免除となる。その1回戦も、これまで2分15秒で警告音、2分30秒で強制退場だったのが2分5秒で警告音、2分15秒で強制退場とネタ時間にも厳しいルールが。また、全国のアマチュア漫才師たちを応援する特別賞「ナイスアマチュア賞」「ベストアマチュア賞」に加え、キッズ漫才師や地方漫才師などを表彰する賞を新設。優勝の条件はただ一つ、「とにかくおもしろい漫才」。日本一の漫才師という称号と優勝賞金1000万円を懸け、熱き戦いの幕が上がる。

まず、昨年の王者・ウエストランドがステージに登場。今年は活躍の場がぐんと広がり、決勝の漫才で毒舌を吐いたグラビアアイドルやYouTuberに会う機会も増えたと語る井口は「会う人会う人、気まずいです」と苦笑い。一方、河本は、優勝直後はコンビの仕事が増えたものの、「最近、井口1人の稼働がまた増えてきたので、今は適度にお休みをいただけてます」と現状を報告。そんなのんきな相方に井口は「腹立つ〜!」とぶち切れながらも、地元・岡山で「優勝パレードをやらせてもらうことができました」とうれしいニュースを明かし、故郷に錦を飾ったことを喜んだ。

続いて、昨年のファイナリストであるロングコートダディ、ヨネダ2000、オズワルド、キュウ、ダイヤモンドが登場。2年連続で決勝進出を決め、今年は3年目を狙うロングコートダディ・堂前透が「今年はとる気満々です」といきなりの勝利宣言。昨年の大会で爆笑をさらったマラソンのネタをさらなるトレーニングで磨き上げ、「4分のネタを1分半くらいにスピードアップできた」と胸を張って笑いを誘った。一方、兎は「今年は去年に比べて晴れやかな大会になりそう。時代が変わったというような…」と予言する一幕も。

昨年は13年ぶりの女性ファイナリストとして、独特のシュールなネタでも注目を浴びたヨネダ2000は、誠が年々増え続けるエントリー数に「今年はもっと増えてくると思うんですが、そいつら全員……“ひき肉にしてやんよ!”」と、先輩のスーパーマラドーナ・武智から「授けられた」というギャグで牽制。さらに、早くも今年のネタが「だいぶ仕上がっている」とぶち上げる愛の口元に、おもちゃのボイスチェンジャーを当てて発言を誤魔化そうとするなど、終始マイペースにボケ倒して会見の場をかみ乱した。

4年連続決勝出場のファイナリスト常連組・オズワルドは、川島から今年の仕上がりを聞かれるも、伊藤俊介が「今日現在、ネタなんか仕上がっちゃいないです!」と即答。しかし、昨年の開催会見でも同じ答えを返しながら、敗者復活から決勝へと見事に返り咲くネタを仕上げていたことを指摘されてニヤリ。一方、畠中悠は、トレードマークだった八重歯を抜き、なぜかダイエットやフェイシャルマッサージにも励んでいることを明かし、「今年のテーマは“奇麗になってやる!”ですね」と予想外の宣言が。

そして、昨年結成9年目で初の決勝進出で出番が9番目、成績は9位など“9の呪い”が話題となったキュウは、清水誠が「エントリーナンバーが3402で全部の数字を足すと9」「(昨年決勝の)2022年12月18日を足すと18、1と8を足したら9」など、まだまだあった9尽くしを次々と披露。「18代目王者で1と8を足すと9」など同じ事務所の先輩・ウエストランドまで巻き込み始め、井口から「僕ら、キュウじゃないんで!」と釘を刺されるはめに。暴走する相方を尻目に、ぴろは「みんなでいいネタを作って、切磋琢磨(せっさたくま)して大会を盛り上げたい」と決意表明。

また、同じく昨年は初の決勝となったものの、最下位に泣いたダイヤモンドは、大会の直前、野澤輸出が劇場の階段で転んで骨折し、決勝戦には“ボルトが3本入った状態”で臨んでいたことを告白。当時、実際に足に入っていたというボトルとネジを舞台に持参して披露してみせ、相方の小野竜輔は「今年はこれの重さがないので、僕らスピードがあると思います!」と大躍進を約束。

初の決勝進出を狙う4組、ビスケットブラザーズ、ななまがり、ママタルト、シンクロニシティも登場。「キングオブコント2022」チャンピオンで、初の「M-1」と「キングオブコント」の2冠を目指すビスケットブラザーズは、大会の前にSNSのエゴサーチでお笑いファンの声を調べたそうだが、原田泰雅は「“ヤバい”“ビスブラがM-1まで獲るの?”とか、お笑いファンの敵キャラのようだった」とショックを明かす。きんは「今年は皆さんの味方として漫才で頑張りたい」と前人未踏の2大会制覇に意気込んだ。

結成15年目でラストイヤーとなるななまがり。開口一番「パラレルワールドから来た上戸彩です!」と自己紹介する大ボケで不思議な存在感を見せつけた森下直人は、その後も川島を相手に「パラレルワールドでは出場資格は40年目まで」などカオスすぎる“パラレルワールド”漫才を展開。さらに、手作りの“笑神籤(えみくじ)”を持ち出して勝手にトップバッターを決めようと大暴走。それでも会場は笑いに包まれた。

ママタルトは最近、ボケの大鶴肥満のギャグ「まーごめ」をめぐり、歌手のマルシアから“出てこいや!”と謝罪を求められるプチ騒動が話題に。「8年間ずっと隠れて言ってたのに、ついにマルシアさんに見つかった」とこぼす。ちなみにマルシアとの関係はSNSを相互フォローするほど良好らしく、相方の檜原洋平共々、「優勝したらマルシアさんに感謝したい」と語っていた。

サラリーマンと芸人の二足のわらじで活動していたシンクロニシティは、今年4月から会社を辞めて吉本興業に所属。プロの芸人としてお笑い1本の道を歩んでいる。西野諒太郎は「去年、会社の昼休みに見ていた会見に出られるなんて」と感激するも、よしおかは独特のローテンションで「絶対に決勝に行きます!」「優勝できなかったら吉本を退所します!」と宣言。西野はよしおかの突然の発言にヒヤヒヤしている様子だった。

会見の最後には、「全員が決勝に行けるわけじゃない。ファイナリストが新しくなるような気がします」とコメントしていたロングコートダディ・兎が、川島から「今年の大会も、お客さんの熱が上がってますんで、最後バシッと締めの一言いいですか?」と振られる展開に。ステージセンターに堂々と構えた兎は、「『M-1グランプリ2023』、今年も誰が優勝するか分かりませんが、みんな一言一言にパワーを込めて! 思いで戦え!!開幕!」と高らかに宣言。会場に微妙な空気が流れる中、相方の堂前はすかさず駆け寄り「マジでこいつらどこまでもいけますわ」と一言。一足先に、コンビの結束力を見せつけることとなった。

会見後に行われた質疑応答では、ウエストランドが優勝する秘訣(ひけつ)を問われると、井口が「好きなようにやればいいんじゃないですか?」と突き放しつつ、「できれば、あまり新しいチャンピオン、ニュースターが生まれてほしくないんで、ルールが変わって笑い飯さんが出てくれないかなと」と言って笑いを誘うと、相方の河本は「徳を積んでいい相方を見つけることです」とキッパリ。井口は「徳なんか積んでないだろ!」とツッコながら、「1人でも頑張れば優勝できるんで!」と昨年王者なりのエールが送られた。

また、ラストイヤーで、コントを得意としているななまがりに、漫才にも力を入れる理由を問われたところ、「パラレルワールド!」とボケる森下に対し、「大学の1個上の先輩(ミルクボーイ)がチャンピオンになってるんで、僕らも続けたらいいなって思ってます」と初瀬はしっかり意気込みを言葉にした。

それぞれの漫才師たちの優勝に懸ける意気込みがあふれた「M-1グランプリ2023」開催会見。今年、漫才で新たに頂点に立つのは誰なのか。エントリーは8月31日まで受付中。詳細は公式サイトで発表予定となっている。

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