特殊詐欺の被害額急増 和歌山県で既に1.6億円超、高齢女性が多く

和歌山県警が認知した特殊詐欺被害件数と被害額

 和歌山県内で「特殊詐欺」の被害が増加している。県警によると、今年、県警が認知した特殊詐欺被害は5月末時点で47件、被害額は1億6633万円。既に昨年1年間の被害額(1億7313万円)に迫っている。

 特殊詐欺は、被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ、現金などをだまし取る犯罪の総称で、預貯金詐欺やオレオレ詐欺などがある。

 今年の被害者は5月末で47人。年代別では80代以上が最も多く、16人が被害に遭っている。次いで70代が15人、60代が5人だった。今年、昨年ともに被害者の約7割は女性で、高齢の女性が被害に遭う傾向がある。

 手口は架空料金請求詐欺が最も多く28件。未払いの料金があるなど、架空の事実を伝えて金銭等をだまし取る手口で、「未納料金がある」とメールやはがきが届き、記載された連絡先に電話をすると料金を支払うよう要求される。指示通りにコンビニエンスストアなどで電子マネーカードを購入して番号を伝え、額面分の金額をだまし取られる詐欺が多発しているという。

 県警は不審な電話やメールが来た場合、自分で行動する前に、特殊詐欺被害防止専用の無料電話「ちょっと確認電話」(0120.508.878=これは・わなや)に確認するよう呼びかけている。

■水際で被害を防ぐ 金融機関で講習会

 田辺市下屋敷町のきのくに信用金庫田辺支店で23日、特殊詐欺被害防止に向けた講習会があった。田辺、白浜、秋津支店の職員約40人が参加し、田辺署の特殊詐欺被害防止アドバイザーから特殊詐欺の手口や、警察への通報方法を学んだ。

 訓練では、70歳ぐらいの男性が電話をしながらATMを操作していたり、定期預金を解約してお金を振り込みたいと申し出たりした状況などを想定。被害者役の署員に「これは詐欺かもしれません」と説明したり、実際に電話をかけながら、上司や警察への報告方法を確認したりした。

 これまで強盗などを想定した講習はあったが、特殊詐欺被害を想定した講習は初めて。金融機関で発生する犯罪の傾向が変わってきたことを受け、今回の講習会を開いた。前日には書面の交付などがなく、投資詐欺に遭っている可能性のある利用客が来店していたという。

 田辺支店の江川泰寛支店長(53)は「お客さまの財産を守るという使命がある。詐欺被害の水際対策として、日頃から注意をし、様子がおかしいと思えば声をかけて丁寧に説明したい」と話した。

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