がん患者と研究者のSNS運用へ 7月、意見交換できる「街」に

 がん患者や一般の人が治療、研究の仕組みを学び、研究者とも意見交換できる交流サイト(SNS)の運用が7月から始まる。研究の計画段階から積極的に意見を言える人が増え、より患者のニーズに沿った取り組みが進むと期待される。中心となっている国立がん研究センター東病院(千葉県)の吉野孝之副院長は「多くの人が参加する『街』をつくりたい。白熱した議論が生まれたら良い」と話す。

 患者の遺伝子を調べ、その特徴に合わせて治療法を考える「がんゲノム医療」が主なテーマで、名称は「フェアリーズ」とした。まずはがんの患者団体の会員から参加者を募る。7月末頃に試験的に始め、11月に本格稼働する。患者の家族や一般の人も参加できるようになり、将来は2千人以上の登録を目指す。

 病気の原因や治療法を探る研究に、患者らの意見を反映する取り組みは「研究への患者・市民参画(PPI)」と呼ばれる。患者は困っているが医師らが注目していない症状を研究したり、患者の精神的、身体的な負担が少ない研究計画を作れたりする利点がある。

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