その場で痛みが減る人も「足首テープ」で腰痛改善!

足首テープで使うテーピングはドラッグストア、100円ショップ、スポーツ用品店等で販売されている

さまざまなストレッチやマッサージを試してもよくならない、病院に行っても原因不明でどうしようもない……。

そんな腰痛や坐骨神経痛の本当の原因は、「足首のゆるみ」にあるかもしれない。

そこで、今回紹介するのは、足首にテープを巻いて固定することで腰痛などを改善する「足首テープ」だ。

一般的に、腰痛や坐骨神経痛などは、腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアといった腰椎(背骨の腰の部分)の異常で神経が圧迫されて起こるとされている。しかし、一方で腰痛の8割以上は原因不明とされている。

そんななか、腰の痛みは足首のゆるみに一因があるのではないか、と着目したのが整形外科医で末梢神経外科医の萩原祐介先生だ。

「たとえば手の外科では、手首に障害があると肩や首に痛みが出る症状がよく知られています。手や腕に通っている末梢神経の障害では、痛みは悪い部分そのものではなく、別の場所に起こることが多いのです。

ですから、足首の神経に障害があるのが原因で、腰など体の中心に痛みが出ることがあると考えるのは極めて自然なことです」(萩原先生、以下同)

ではなぜ、足首がゆるむと腰痛が起こるのだろうか?

「そもそも腰椎から延びる坐骨神経は、枝分かれを繰り返し、足の末端までつながっています。足首がゆるむと、走ったり歩いたりの動作で体重がかかるときに、足首が傾いて足首まわりを通る末端の神経が引っ張られたり、圧迫されて傷つき、その痛みの信号が坐骨神経を伝って送られることになります。これを『放散痛』といいます。

私は、この『放散痛』が腰痛や坐骨神経痛として感じられるのではないかという仮説を立てたのです」

■腰痛患者の半数以上に足首のゆるみが認められた

そこで萩原先生は、多数の腰痛の臨床データを取り、患者さんに治療を行った。その結果、半数以上の人々に足首のゆるみが認められ、それを矯正することで痛みやしびれなどの症状が改善したという。

それからというもの、先生は腰痛の検査をする場合、第一に腰椎の検査をし、第二に足首のゆるみを確認している。

足首のゆるみに腰痛の原因がある場合、これを防ぐいちばんの方法が足首テープだと、萩原先生は語る。

なお、腰痛の原因が足首のゆるみとは限らないので、足首テープを行う前に、腰痛の原因が足首かどうかをチェックしておきたい。

「足首にゆるみが生じるのは、骨と骨のつなぎ目である関節をつなぐ靱帯が伸びてしまうからです。捻挫などはその代表例ですね。

また、加齢により足首にゆるみが出ることも少なくありません。こうなると、足の骨が正しい位置に固定されなくなり、足首がゆるみます。

足首テープは、足首の位置をテープで固定し、可動域を正常に保つことにより、足首が動きすぎるのを抑えます。そして、テープで固定することによって、傷ついた神経が少しずつ自然治癒力で再生されるのです」

すると結果的に、腰痛はもちろん、お尻、太もも、膝の内側、ふくらはぎなどのしびれや痛みも大きく改善する。

足首テープでは、素足にテーピングテープを巻いて足首を固定するが、テープの巻き方は、リンク先の図解を参考にしてほしい。

■家事をしたり、歩くときは足首テープで足首の保護を

「足首テープは足首を固定してゆるみを防ぐことが目的なので、テープは伸縮しないタイプを選んでください。

家事をしたり、歩くときはできるだけ足首テープをして足首の保護をしましょう(皮膚にかぶれなどが出たときは中止してください)。

足首にゆるみがある人が足首テープをして歩くと、すぐに足が軽く感じ、足が上がりやすくなります。なかにはその場で痛みやしびれが軽減したと感じる人もいますよ」

ツライ腰痛で困っている人は、ぜひ試してほしい。

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