雪崩の危機意識希薄、対応に遅れ 地裁判決、県と高体連に賠償命令

那須雪崩事故を巡る宇都宮地裁の判決を受け、記者会見する遺族の奥勝さん(右から2人目)ら=28日午後、栃木県庁

 栃木県那須町で2017年3月に起きた雪崩事故を巡る訴訟の判決で、県と県高等学校体育連盟に約2億9千万円の賠償を命じた宇都宮地裁(浅岡千香子裁判長)は28日「雪崩に対する危機意識の希薄さから講習会を中止しなかったこと」が事故発生の一因だとし、救助要請も遅れたと指摘した。

 17年10月に検証委員会が公表した報告書で、雪山登山の危険性の認識や、計画のチェックが足りなかったと指摘され、県側は地裁に提出した答弁書でも「責任を負うことを争うものではない」と過失を認めていた。

 判決によると、教諭ら3人は17年3月27日早朝、積雪や降雪のため登山を中止して雪上歩行訓練にする計画に変更したが、テレビなどで気象情報や注意報を確認せず、訓練の具体的範囲も協議しなかった。

 雪崩発生後、現場にいた複数の教員が本部に無線連絡しようとしたが、責任者が連絡用無線機から離れていたため応答せず、判決は「対応が遅れた」と指摘。県と高体連に遺族への賠償責任があると結論付けた。

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