『結合男子』結末までやり込んでみた本気レビュー! クリアしてからが本番!? 軽く遊べるのに情緒の揺さぶられ感がハンパない

『結合男子』が、6月29日についに発売! 「化学元素」の力を宿す「志献官(しけんかん)」たちを結合させて、友情と絆の力で世界消失の危機に立ち向かった50日後にどんな感動が? 結末までやり込んでみた深堀りレビューをお届けします。

【ネタばれなし】
▼序盤の「弐論」までのプレイレビュー! まずはこちらから!
https://numan.tokyo/feature/4dsmfuo5/

結合率が高まるほどに深まる苦悩!?

絶対虚無の「デッドマター」(ダークマターじゃないよ!)の侵食に脅かされる世界を救う、「媒人(なこうど)」としての日常は、訓練や作戦で充実した日々!

通常版に収録されている「源朔(水素H)CV:伊東健人」「安酸栄都(酸素O)CV:榎木淳弥」「鍛炭六花(炭素C)CV:田丸篤志」「宇緑四季(ベリリウムBe)CV:古川慎」(※1)という4人の志献官を、最初の部隊として編成することになりますが、どうしても悩むのが「どのふたりの結合率を高めていくのか?」という組み合わせの問題です!

「最初は朔と栄都にしよう! 順番に遊んでいくぞ!」と“正統派(?)”を選んでいましたが、「午前→巡回→午後」のサイクルを繰り返すうちに、六花と四季のエピソードを選択している自分が……嗜好の無意識ってこわい!
(※1)宇緑四季は「メインストーリー 参論」から編成可能となります。

「栄都と六花のエピソードも知りたい」と思いながらも、「浮気しすぎもよくない、二兎を追うものは一兎も得ずやで(なぜかエセ関西弁)」と戒めながらプレイ。

キャラクターたちの関係性や時間軸は、まるで彼ら自身を表す化学構造式のよう。構築されたシナリオやエピソードは、伏線というよりも、精緻に張り巡らされた結合線のような結びつきで、一本線から三本線、破線や二重線もあるといった具合です。

断片的なエピソードを重ねつつ、多層的に物語が進むので、キャラクターたちのボイスと相まって、本作ならではの膨大な深みを感じさせる仕掛けになっています。……というわけでとりあえず設定資料ください!

ストーリーは中盤から佳境に!

第参論からは、正体不明のデッドマターの出現や侵食された都市の奪還作戦が始まって、舎密防衛本部(せいみぼうえいほんぶ)の成り立ちや、過去の作戦などが明らかになっていきます。

新キャラクターたちが畳みかけてくる登場とその正体には、「あ、彼らが“敵”なのか!」と、元素記号に思いを馳せることもできました!

そして、なぜ、自分が「媒人」としての力をもっているのか、その理由を知った時、ゲームの第壱論も違った風に見えてきます!

戦闘中に技として使用する「分子術」も、追加DLCとして配信される志献官を部隊に編成すると、より多彩な組み合わせに。例えば、「凍硝七瀬(窒素N)CV:堀江瞬」なら「分子術」は、ニトロ化合物になり、「塩水流一那(塩素Cl)CV:岡本信彦」なら塩素化合物という具合。牛丼のおっさんこと「清硫十六夜(硫黄S)CV:安元洋貴」の硫黄化合物もヤバイ。

要は、爆発性や毒性が高い物質の分子式になるので、「ひゃだ、混ぜるな危険!ができちゃう……」のです。

もちろん「舎利弗玖苑(フッ素F)CV:逢坂良太」のフッ素化合物も大事だよね、安全に対する危機意識を高めなきゃね、「浮石三宙(リチウムLi)CV:西山宏太朗」のリチウム化合物の可能性も無限大だし……と、DLC版の志献官への独り言がとまりません。

小説やコミカライズで仄めかされている、朔の兄「源碧壱(みなもと・あおい)」、補佐官のモル公たちによるラジオ体操への執念など、細かいエピソードもゲーム内では掘り下げられていて、朔と三宙がモルたちのために新たなモル寮を作って意地を張り合うといったお気楽なお笑いシーンもあれば、任務のプレッシャーでがんじがらめになったり、と重めで感情が揺さぶられてしまうことも。

鉄(Fe)の志献官「鐵仁武(CV:濱野大輝)」が苦悩する場面では、治るものなら私が錆止めスプレーをかけてあげたくなりました。
……〇レ5-5〇でいいよね?

「志献官名簿」を埋めたい……!

ゲームには「追憶」という機能が備わっていて、これが便利! プレイした物語(反応結抄や交結挿話などのサブストーリーも!)や、美麗スチルを眺められる「挿絵」をはじめ、「結合術」や「侵食」などの用語を解説する「用語集」、志献官たちのプロフィールが記載された「志献官名簿」などを確認できます。

当初はすべて「???」と表示されているため、ゲームを進めてこれを明らかにしていくがもう楽しい。この塗りつぶしていくような、穴埋め作業が好きな人も多いはず。

さきほど「設定資料集ください」と書きましたが、ゲーム内容のすべてのイベントが、ここで網羅できるのです!
(でも設定資料は別でほしいです。希望。)

その一方でもちろん、面倒臭い場合はわざわざ埋める必要もないので、とくに意識することなくゲームは進められます。

とはいえやっぱり攻略は冷静に

ほかのキャラクターとのエピソードも知りたくなって、つい「巡回」では別のキャラクターにふらふらと寄り道してしまうプレイスタイルだったのですが、(ボス戦以外の戦闘に負けてもストーリーは進みますが)後半になると苦しい場面も。
そのため、画面左肩の「推奨作戦練度」と「推奨結合率」を少しでも上回るよう訓練し、戦闘直前には「休憩」を選んで体調を整える、という進め方をしたところ、ラストまでスムーズに進めました。

「か、勝てない……」という状況に陥ってしまったら参考にしてみてください。少し前の章に戻ってみるのも効果的かも!

どの選択肢を選んでも枝分かれして、「最大45通りのルート分岐、90種類以上のエンディング」という公式の謳い文句は伊達ではありません。試しに、戯れに興味本位で、一緒に戦うことを拒否する選択肢もあったので選んでみたのですが……。結果はここでは書かないでおきます。(悪の魔王から「世界の半分をやろう」と誘われたら、一度は頷いてみたいですよね? ね?)

クリアー後に「ふうっ。さて、これから本番。よし、2周目な」って、素直に思えました。
スキップや早送り機能も充実して周回ストレスゼロな作りも、行き届いています。

ぜひ、みなさんだけのストーリーを満喫してください!

ちょっとだけタメになる、元素豆知識

さて、ここからは本編とも絶妙にリンクする豆知識をご紹介。知っているとちょっとクスッとできるかもしれません。本編終了前に読むもよし、本編やり込んでから読むもよし。

余談① 元素豆知識「ハイパーカミオカンデ」

世界最大の水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置「スーパーカミオカンデ」をさらに上回る、超大型地下実験装置。2027年の実験開始を目指し、岐阜県飛騨市神岡町の、旧神岡鉱山内に建設が予定されています。
公式HPはこちら https://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/hk/

「チェレンコフって何それ強そう?」と思った人、大正解です! ちょっとでも興味を惹かれたらぜひ覗いてみてください。

余談② 元素豆知識「113番目元素」

理化学研究所が発見し、国際機関が2015年12月に新元素であると認定した元素。この元素を発見するまでの苦難の道のりを描いた136ページに及ぶマンガ『113』がもう、アツいです。最初のセリフが「やめろ! やめてくれッ! サイクロトロンだけはッ!!」です。これはもう読むしかないっしょ? いろいろ伝わってくるのでぜひ読んでみてください。
理化学研究所公式: https://www.riken.jp/
(※マンガは「広報活動」>「お楽しみコンテンツ」ページから読めます)

作品紹介

『結合男子』https://www.jp.square-enix.com/ketsugou-danshi/

購入はこちら⇒https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000056793.html

■ゲーム概要

万物を呑み込む暗黒の絶対虚無「デッドマター」の脅威に侵された「結倭ノ国(ゆわのくに)」を舞台に、化学元素の力を宿す男子「志献官(しけんかん)」たちの友情と絆で世界を救うシミュレーションアドベンチャーゲーム。

世界消失まで残された時間はわずか50日。プレイヤーは志献官を結びつけて力を引き出す「結合術」の使い手「媒人(なこうど)」として、戦いに身を投じていきます。

メインストーリーは豪華声優陣によるフルボイス、分岐は最大45ルート、エンディングは90種類以上にも及ぶ、幾重もの物語が紡がれます。

キャラクターデザイン・原画:スオウ、世界観設定・脚本:永川成基、音楽:Elements Garden

キャスト/源朔(水素H):伊東健人、安酸栄都(酸素O):榎木淳弥、鍛炭六花(炭素C):田丸篤志、宇緑四季(ベリリウムBe):古川慎

凍硝七瀬(窒素N):堀江瞬、浮石三宙(リチウムLi):西山宏太朗、鐵仁武(鉄Fe):濱野大輝、舎利弗玖苑(フッ素F):逢坂良太、塩水流一那(塩素Cl):岡本信彦、清硫十六夜(硫黄S):安元洋貴

スクウェア・エニックス 2023年 Nintendo Switch シミュレーション アドベンチャー

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