物価高持続で金融政策正常化も 日銀総裁、24年「確信」で

「ECBフォーラム」の討論会で発言する日銀の植田総裁=28日、ポルトガル・シントラ(ECBのユーチューブチャンネルから)

 【シントラ共同】日銀の植田和男総裁は28日、2024年も物価高が続くことを「確信」した場合、金融政策の正常化を進める可能性を示唆した。欧州中央銀行(ECB)がポルトガルの保養地シントラで開いたシンポジウム「ECBフォーラム」の討論会で明かした。物価上昇率の基調は政府・日銀が目標とする2%を下回っているとし、日銀が取り組む大規模緩和の妥当性を訴えた。

 植田氏は、輸入物価の上昇が一服することにより、物価上昇率が年末にかけて鈍化すると予想。その後は伸び率が拡大すると予測しながらも「あまり自信がない」と説明し、「ある程度確信を持てるようになれば、政策変更の十分な理由になり得る」と語った。

 外国為替市場で急速に進む円安に関しては「状況を非常に注意深く監視している」と言及。急激な円安を食い止めるための為替介入の是非に関しては「財務省の管轄だ」とかわした。

 討論会にはFRBのパウエル議長、ECBのラガルド総裁なども同席し、それぞれ日銀とは対照的にインフレ対策として追加利上げに動く可能性などを示唆した。

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