珠洲の群発地震「耐震性を確保」 北電株主総会

株主総会の会場に入る出席者=富山市の北陸電力本店

  ●志賀廃炉議案を否決 

 北陸電力の株主総会は28日、富山市の同社本店で開かれ、株主からは珠洲市を中心とした群発地震について、志賀原発1、2号機への影響を懸念する声が上がった。北電側は2号機の早期再稼働を目指すとした上で「地震の最新データも含めて国の審査が進んでいる。十分な耐震性を確保していきたい」と強調した。志賀原発1、2号機の廃炉などを求めた株主提案の5議案がいずれも否決された。

 震度6強を観測した5月5日の奥能登地震では、志賀原発で震度3を記録したものの、施設の故障や外部への放射能の影響はなかった。

 珠洲で地震が頻発していることから、志賀原発周辺での大規模な地震の可能性を尋ねる株主に対し、北電側は「珠洲周辺の地震発生エリアは地殻変動が見られているが、志賀周辺では確認されていない。珠洲と同じような地震が起こるとは考えがたい状況だ」と述べた。

 その上でマグニチュード(M)6.5だった奥能登地震の震源域で、北電はM8.1を想定した対策を講じているとした。

 志賀原発2号機を巡っては、原子力規制委員会が3月、敷地内に活断層がないとする北電の主張を了承し、再稼働に向けた審査が前進している。燃料費の高騰を受けて2023年3月期連結決算が884億円の最終赤字となる中、北電側は「ウクライナ紛争以後、燃料費が急騰し、原子力の経済性はより一層向上している」と再稼働の必要性を説明した。

  ●「値上げ申し訳ない」

 4月以降、電気料金を抜本的に値上げしたことに関し、経営責任を問う意見も出た。松田光司社長は「値上げは大変申し訳なく思っている。効率化を進め、先頭に立って収支改善に取り組んでいく」と語った。

 送配電子会社を通じた新電力の顧客情報の不正閲覧問題が他の大手電力で相次ぎ、北陸電力送配電の所有権分離を求める株主提案も出された。会社側は北陸電では不正閲覧の事実はなく、同様の事案を未然防止するための具体策も検討、実施すると主張している。

 出席者は昨年より54人多い166人、所要時間は1時間51分だった。昨年に引き続き、株主の質問は1人1問2分以内に制限された。

 取締役の選任など会社側が提案した2議案は可決された。「北陸電力と共に脱原発をすすめる株主の会」は本店前で脱原発を訴えた。

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