新規就農「増」も担い手「減」 農業人口、5年間で2万人減

いしかわ耕稼塾で米作りを学ぶ塾生。県は農業の担い手育成に取り組んでいる=2021年8月、金沢市内

  ●高齢化カバーできず 環境農林建設委

 県議会4常任委員会が28日開かれ、環境農林建設委で県側は、県内の就農者数が2020年度に3万4110人となり、15年度の5万3337人から2万人近く減少したと報告した。高齢で農業をやめる従事者が増えているためで、就農者の平均年齢も20年度は70.2歳と、15年度の69.1歳から1.1歳上昇した。県が推進する新規就農者は年間120人前後で、離農者の多さをカバーするには至っていないのが現状だ。

 県内で新たに農業に従事する人の数は昨年度、3年ぶりに増加に転じて123人だった。親が農家で後を継ぐ人、親は非農家で新規参入する人、営農法人への就職者が含まれる。就農相談会の開催がコロナで制限された21年度は112人に落ち込んだことから、県はオンラインを併用して担い手確保に取り組んでいる。

 一方、20年度までの5年間では年平均4千人が農業から離れており、新規就農者を大きく上回る。県は今後も農家の減少が続くとみている。県内の農地約4万ヘクタールのうち、現在約6千ヘクタールとされる荒廃農地がさらに増えることや、食糧自給率の低下が懸念される。

 竹沢淳一農林水産部長は、新規就農者を増やすには所得向上が重要になると指摘し、「作業を機械化するスマート農業でコストを落とせるよう支援していく」と述べた。竹田良平氏(自民)が取り上げた。

 農家を育成する県の「いしかわ耕稼塾」に長男が入塾したという安実隆直副委員長(同)は新規就農者の定着率を尋ねた。県側は、新たに農業に従事してから3年以上継続した人の割合は約8割と説明した。

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