夏の甲子園県予選特集 注目校紹介(2) ひるむことなく攻撃野球を貫く津久見 【大分県】

高校球児の熱い夏がやってきた。憧れの甲子園を目指し、第105回全国高校野球選手権の県予選が7月8日に幕を開ける。大会序盤から激戦は必至、実力伯仲のトーナメントの頂点に立つのはどのチームなのか。大会を前に、優勝候補となるシード校を紹介する。

第2回は1988年以来の優勝を目指す第2シードの津久見だ。

今年の津久見は攻撃型のチームだ。昨年までは投手を中心とした守りの野球がベースにあったが、「野手が点を取って、ピッチャーが抑えるチームになった」と藤丸崇監督。決して投手がそろってないわけではないが、是永凜太郎や佐伯和真ら2年生投手に「期待と重圧をかけすぎないようにしている」との配慮からだ。

攻撃型チームを支えるのが3年の黒木大生、染矢優人、船津延照。昨年のチームから試合に出ている。藤丸監督は「意思疎通が図れ、サインを出さなくても狙いとするプレーをしてくれる」と信頼を寄せる。切り込み隊長となる染矢の一番は確定だが、長打を打て、小技も使える黒木、しぶといバッティングが光る船津を、どの打順に据えるかがポイントになる。

いい緊張感で練習ができている

夏に向けて尻上がりに調子を上げているが、どん底からはい上がった。昨年の全国高校野球選手権の県予選準決勝で明豊に7回コールド負けを喫した。新チームになってからも相手をリスペクトし過ぎ、力を出しきれない試合が続いた。藤丸監督は「ひるみは考え方次第で変わる」と選手に説き、個人で戦わずチームで戦うことの重要さを丁寧に時間をかけて伝えた。選手の意識は徐々に変わり、5、6月の県外遠征で完全に克服した。

県内の高校との練習試合をあえて控え、横浜高校など全国の強豪校に出向き、実戦を積んだ。選手たちは個人の能力の高さを感じたが、それ以上にチーム内にある厳しさを感じ取った。「自分たちの甘さを知った。(強豪校の選手は)能力を高めるためにチーム内で厳しく言い合っていた。ベクトルが外ではなく自分たちに向いていた」(黒木)。まずは自分たちの野球と向き合い、何ができるかをそれぞれが考える。「相手を見るのではなく、自分たちができることを全力でプレーする」(染矢)ことに気付いた。

練習から選手同士の叱咤(しった)が飛び交う。日を追うごとにチーム内にいい緊張感が流れている。ひるむことなく、頂点を目指す戦いの準備は整った。

切り込み隊長となる染矢優人

(柚野真也)

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