陶芸家・小林さん、茨城・東海で個展 平和願う空間表現 ウクライナ侵攻を題材

ウクライナの平和を願い、「駄駄男」の名で作品展を開いている小林征児さん=東海村舟石川駅西

ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、陶芸家の小林征児さん(78)=茨城県笠間市在住=が、平和への願いを込め、同県東海村舟石川駅西の東海ステーションギャラリーで「今『ウクライナ』駄駄男(だだお)展」を開いている。ウクライナ国民やロシア兵などを題材に、無数の陶製オブジェを床一面に配置したインスタレーション(空間表現)を展開。小林さんは「戦禍の映像を見るたびに悲しい思いになる。微力ではあるが、一人の作家として戦争反対の意志を発信したかった」と力を込める。

小林さんは水戸市生まれ。現在は笠間市内に窯を構え、粘土の一部を彫って別の土を施す象眼技法を主軸に器制作などを続ける。

一方で、心に触れたものについて手びねりによる造形制作にも取り組む。その際は、旧来の常識を打破し、駄々っ子のような奔放さを体現するため、「駄駄男」の名を用いている。

会場内では、ウクライナの戦禍を題材としたおびただしい数のオブジェが敷き詰められている。白いどくろは、犠牲となったウクライナ国民や攻撃を続けるロシア兵を表現。床に無造作に横たわるどくろはウクライナの悲劇を表し、ヘルメットをかぶって列を作るどくろはロシア兵を思わせる。やや傾いたパステルカラーの直方体のオブジェは、ウクライナの廃虚を象徴しているかのようだ。このほか、両国旗をイメージした小さな陶片が一面にちりばめられている。

小林さんは、昨年2月の軍事侵攻以降、ニュース映像が流れるたびに心を痛め、今年1月に今展を発案。通常の仕事の合間を縫って、オブジェを制作した。

「駄駄男の思いとして、何らかのアクションを起こしたかった。ウクライナの平和を願い続けていただければ」と呼びかけている。

会期は7月1日まで。時間は午前10時~午後5時(最終日は同3時まで)。

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