人間国宝も期待するあべの歌舞伎「成長を認めていただけた」

人間国宝の片岡秀太郎が監修した松竹・上方歌舞伎塾出身のメンバーで結成された「晴の会(そらのかい)」。同会が2015年にスタートし、今夏に8回目となる『あべの歌舞伎』の会見が6月28日におこなわれ、出演者総勢10名が参加した。

前列左より片岡當十郎、片岡千次郎、片岡千壽、片岡松十郎、後列左より中村翫政、片岡當史弥、片岡千太郎、片岡愛治郎、片岡佑次郎、片岡りき彌(6月28日・近鉄アート館)

これまで古典の演目もあったが、今回は第5回(2019年)に上演した『肥後駒下駄(ひごのこまげた)』を再演。原作の改訂を担当した亀屋東斎こと片岡千次郎は、「男と男の戦い、武士と武士の意地が主題のなか、夫婦や家族の情愛が描かれているのを感じていただきたい。前回の反省を踏まえてテンポ良く展開させたい」と意気込んだ。

また、これまでの公演を監修してきた片岡秀太郎が2021年に逝去し、今回はともに指導に当たっていた人間国宝で弟の片岡仁左衛門のみで監修する初の公演。

この日、仁左衛門から届いたコメントには、「前回は兄・秀太郎とともに演技指導もいたしましたが、出演者一同、年々力をつけ、古典以外の作品にはその必要性をあまり感じなくなってまいりました。今回は彼らに自由に演らせ、私は全体のアドバイザーとして兄の穴を埋め、さらなる向上を目指したい」と期待が込められていた。

これを受けて「晴の会」結成メンバーの片岡松十郎は、「僕らの成長を旦那に認めていただけたんじゃないかと、ホントにうれしく思います。責任感と不安も芽生えましたが、期待に応えられるよう回を重ねてがんばっていければ」と気を引き締めた。

同公演は、8月3日〜6日に「近鉄アート館」(大阪市阿倍野区)にて全8回。チケットは一般7200円(当日300円増)、高校生以下1000円で7月6日に発売。

第8回 あべの歌舞伎「晴の会」

『肥後駒下駄』
日程:2023年8月3日(木)〜6日(日)
会場:近鉄アート館(あべのハルカス近鉄本店ウイング館8階)
料金:一般7200円(当日+300円)、高校生以下1000円、3歳以下入場不可
チケット発売は、2023年7月6日(木)より

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