ワーケーション最前線 観光庁が南紀白浜でイベント「和歌山は聖地」

ワーケーションについてのパネルディスカッションなどがあったイベント(26日、和歌山県白浜町で)

 ワーケーション(仕事と休暇を組み合わせた造語)の普及を目指す観光庁主催のイベントが26日、和歌山県白浜町であり、ワーケーションの実践関係者らが、現状やその良さを話し合った。

 「ワーケーション最前線in南紀白浜」と題したイベント。国や自治体、企業などが参画するテレワーク・ワーケーション官民推進協議会と連携して開き、都市圏の経営者層や地域事業者、自治体関係者約40人が参加した。

 ワーケーションとは、テレワークなどを活用し、普段の職場や自宅とは異なる場所で仕事をしつつ、自分の時間も過ごすこと。働き方や暮らし方の多様化が広がる中、観光庁はワーケーションの普及促進に力を入れている。

 観光庁によると、従業員100人以上の企業におけるワーケーション制度導入率は22年度で13.4%と増加傾向にはあるという。一方でその効果や意義についての企業の認知度や受け入れ態勢の整備が課題だとし、企業ニーズに即したプログラム造成や受け入れ環境整備に取り組んでいる。

 イベントでは、推進協議会の箕浦龍一会長が講演。DX(デジタル変革)をはじめ、社会環境の激変は世界を大きく変えつつあると言い、地域や同属の中に閉じた「経験値」では価値が生まれず、組織や地域の隔たりを越えるワーケーションは予測困難な時代の必然だと説明。「外部の人との交流は地域に新しい情報(価値)をもたらし、地域での他者との交流は人や企業に新しい情報(価値)をもたらす」などとその意義を語った。

■和歌山は聖地

 続いて「なぜ和歌山はワーケーションの聖地なのか」をテーマに、推進協議会副会長の島田由香さんや、南紀白浜空港を運営する南紀白浜エアポートの誘客・地域活性化室長、森重良太さん、白浜町にサテライトオフィスを構えるIT企業「ウフル」の経営企画室長、近藤悠平さんらによるパネルディスカッションがあった。

 島田さんは、みなべ町で梅の収穫作業と組み合わせたワーケーション事業などに取り組んでいる。何かに没入して「空になる」ことができる環境や、首都圏から近いこと、受け入れる地域の人の良さなどを挙げ、ウェルビーイング(心身ともに良い状態)や業績向上につながりやすいと良さを伝えた。

 近藤さんも、東京から近いことや施設などいろいろなものが集まっていることを利点に挙げ、自社では地域密着型ビジネスや移住、全国イベント参加でワーケーションをしており、社員には現場を見てきた方が価値が上がると勧めていることなどを紹介した。

 森重さんはワーケーションは目的が大切だと強調。企業も地域も目的を明確に持ち、その解決の一つの手段としてワーケーションを活用することを勧めた。

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