どうなる札幌ドーム!? 黒字化へ社長を直撃! 杉村太蔵は民間売却を提案!?

今週のテーマは札幌ドーム。プロ野球・日本ハムファイターズが本拠地を移し、経営面では大きな影響を受けている。今後の戦略などについて社長に聞いた。

【札幌ドームの歴史と収支の仕組み】

まずは札幌ドームの歴史を振り返る。

2001年6月に開業。総工費は537億円。2002年に日韓ワールドカップ。2004年は、ファイターズ移転元年。2006年に指定管理業者として「株式会社札幌ドーム」となる。2016年にはファイターズが日本一、コンサドーレはJ1昇格。2019年にはラグビーワールドカップ、2021年には東京オリンピックの会場として使用された。

そして、大きな転換期となったのが、ファイターズの移転。去年9月が最終戦となった。この間、札幌ドームの収支はどうだったかというと、大型ビジョンを更新した2014年度が開業以来初の赤字。野球用人工芝を更新した2018年度、コロナの影響の2020年度という3回の赤字を除けば毎年、黒字を計上していた。

そもそも札幌ドームの収支はどのような仕組みなのだろうか。札幌市スポーツ局の井上施設課長に話を聞いた。

札幌ドームは札幌市が所有者で、㈱札幌ドームが管理者。つまり管理・運営にあたる収支で黒字か赤字かが決まる。

札幌ドームは開業から20年たった施設で、修繕・改修にお金がかかっているが、根本的な施設の建築費、維持管理するための修繕は、大家にあたる札幌市の役割。国の交付金や道の補助金も受けているが、札幌市は札幌ドームにかかっているコスト=年間10数億円を負担している。これは、ドームの収支とは別である。

それでは、札幌ドームは何にお金がかかっているのかというと、例えば会場内の装飾や、人工芝の張替えなど。ファイターズが本拠地として使用していたときは、人工芝を入れて野球モードにするために1回500万円の人件費をかけて張り替えが必要だった。年間の費用としては約1億円に上っていたという。

現在はドーム内の装飾など、ファイターズとコンサドーレの入れ替え作業は不要となり、一面赤黒のコンサドーレカラーとなっている。

【どう収入伸ばす? 鍵握るイベントとネーミングライツ】

番組MCの杉村太蔵さんは「ファイターズの移転は経営的に厳しいか」と山川社長に尋ねると、「かなりの痛手だ」と回答。

札幌ドームの売上高は、コロナ前の2019年が39億円台。ことしはファイターズ移転初年度で赤字を見込み、来年度からの黒字化を目指している。

札幌ドームの稼働については、プロ野球の62日がなくなり、その代わりとなるイベントを増やす計画だ。稼働日を増やすために新しくコンサートモードの料金も設定。今のところ決定したイベントはなく複数が検討中とのことだ。

また、アマチュアスポーツでの稼働も増やしている。これは必ずしも収益につながるものではないが、広く市民に使ってもらいたいという考えがあるという。

プロ野球の試合がなくなって影響が大きいのは、広告収入だという。2019年度の売り上げは39億7千万円。そのうち、広告費は「その他」に含まれ10.8億円。今年度は3.5億、来年度は5.6億と、数字は落ち込んでいる。

野球が減った分、なんとかイベントを増やし札幌ドームの広告価値を上げる。今狙っているのは、ネーミングライツだ。杉村太蔵さんは「仮に『太蔵ドーム』にするとしたらいくら必要なのか」と質問。

山川社長は「昔5億円くらいで募集したことがあるが、全くだめだった。1億5000万円~2億5000万円くらいになるのではないか」と話す。

来場3万人を目指すコンサドーレとの連携にも力を入れる。Jリーグ開幕直前、地下鉄福住駅ではある作業が行われていた。ファイターズの青い色がなくなり、コンサドーレの赤黒だけに。

2022年に連携協定を結び、来場者の増加に向けて取り組む。先月はコンサドーレの事務所も10年ぶりにドームに戻ってきた。中期計画のトップには「コンサドーレ」。そして「新規自主イベント」「地域連携」「アマチュアスポーツ」といった文字が並ぶ。

5月に完成したスケートボードの練習場、キッズスペース、冬の雪遊び広場。全て無料だ。集客が増えれば、広告効果も高まる。“札幌ドーム”の価値をどう上げていくかが問われている。

【札幌市が描くスポーツ施設の集積 月寒体育館移転で相乗効果?】

札幌市は長期的なビジョンを描く。ドーム周辺には「スポーツ交流基本構想」がある。検討しているのは、2030年に更新時期を迎える月寒体育館の移転。新しい体育館をドーム周辺に建設する考えだ。

札幌市スポーツ局の酒井さんは「市民が普段スポーツをする場所、見る場所として月寒体育館は機能している。ドームの近くに行くことで相乗効果が期待できる。アリーナが、アイススケート、コンサート、バスケットボールなど、多目的に使える施設という考え方」と話す。

【杉村太蔵さんは民間売却を提案?】

杉村太蔵さんは「第3セクターという難しさもあるのではないか」と指摘。「僕だったら本音は思い切って民間に売却して、その民間がここにホテルや遊園地を作って再開発する。例えば100億円で売って、その企業が300億円の価値のある施設にする…という流れにできないものか」と話した。

最後に、山川社長に今後の札幌ドームのあり方を聞くと「多くの市民・北海道民が参加し、楽しめるイベントを行いたい。多くの人が集まって楽しむ、その中心に札幌ドームがあるのが理想だ」と話した。
ファイターズの移転で経営面では大きな影響を受けた札幌ドーム。これからの手腕に期待したい。
(2023年7月1日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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