新属新種の乳酸菌発見 小山高専との研究グループ 機能解明し商品化へ ミヤトウ野草研究所

 ミヤトウ野草研究所(妙高市工団町)と国立小山高専(栃木県小山市)はこのほど、新属新種の乳酸菌(WR16―4株、写真)を発見、培養に成功した。

 米国東部時間21日(日本時間22日)付で科学雑誌『PLOS ONE』のオンライン版に論文が掲載された。両者は学名を「甘いものを好む乳酸菌」「妙高に由来する」という意味のラテン語「フィロドゥルチラクトバチルス・ミョウコウエンシス」にするよう提唱している。
 発見、培養したのは、ミヤトウ野草研究所の石山洋平研究開発部長と小山高専の高屋朋彰准教授をはじめとする研究グループ。全ゲノム解析などから新種にとどまらず、上位分類階級の「属」でも新規であることを突き止めた。
 WR16―4株は、同社の発酵野菜エキスから発見された。野菜はごく一般的なもので、特殊な条件下で栽培したわけではないという。
 同乳酸菌はグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(はちみつ、ベリー類などに含まれる果糖)の混合糖を用い、培地のゲル化剤を一般的な寒天からゲランガム(耐熱性に優れたゲル化剤)に変え、培地は弱酸性という環境で培養に成功した。「自然由来の乳酸菌と想定している。ブドウ糖で培地を中性にした場合はほとんど増殖せず、寒天の培地では生育できなくなってしまい、これまで発見されなかったのだろう」(石山部長)
 これまでの研究で、WR16―4株が菌体外多糖(菌を覆うように多糖を算出する)の性質を有することが分かっている。石山部長は「(食品の)風味改善、(健康維持・増進に役立つ)機能面での利用が考えられる」として、今後機能解明を進め、商用化につなげたい考えだ。
 柳澤博幸社長は「まだ世に知られていない菌を、今後も発見していきたい。産学研究を一層推進していく」と話した。

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