【ワシントン共同】米最高裁は29日、ハーバード大などの入学選考で黒人や中南米系を優遇する積極的差別是正措置(アファーマティブ・アクション)を認めないと判断した。米メディアが伝えた。選考で不利になっているとしてアジア系が不満を抱え、保守系の学生団体が「差別だ」と訴えていた。措置は多様性確保のため1960年代から多くの大学で導入されており、他の大学にも影響が広がりそうだ。
訴訟の対象になったのはハーバード大とノースカロライナ大。提訴した学生団体は私立のハーバード大について、連邦政府の資金支援を受けながらアジア系の出願者を差別し、公民権法に反すると主張。公立のノースカロライナ大に関しては、合衆国憲法の「法の下の平等」に反すると訴えていた。
最高裁は保守化が進んでおり、昨年6月には約半世紀ぶりに人工妊娠中絶の憲法上の権利を否定する判決を出している。
アファーマティブ・アクションは人種差別に苦しんだ黒人や中南米系の社会進出を促すために導入された。最高裁は2003年、入学選考への適用は合憲との判断を示していた。