岡山県庁シンボル「環」再設置へ 復元望む声踏まえ、中庭そばに

 金色の威容、再び―。岡山県が県庁本庁舎(岡山市北区内山下)の耐震化工事に伴い、中庭から撤去した巨大モニュメント「環(かん)」を再設置する方針を固めたことが29日、関係者への取材で分かった。県庁のシンボルとして再設置を望む声を踏まえて判断した。2023年度中に中庭そばに据える予定。

 モニュメント(直径5メートル、重さ5トン)はアルミ青銅製で1981年に中庭の改装に合わせて設置した。米ニューヨークを拠点に活動していた彫刻家の故・古橋矢須秀氏(本名・小橋康秀、倉敷市出身)にデザインを依頼。耐震化工事で重機が入るスペースが必要となったことから2021年3月末に姿を消し、現在は岡山市内の県関連施設に保管されている。

 取り扱いを巡って県はこれまで「県民の意見を聴きながら検討する」と慎重姿勢を示していた。一方、モニュメントは金箔(きんぱく)仕様(17年に塗装へ変更)とかぶとの鍬形(くわがた)をほうふつさせるユニークな造形で長年存在感を放っていたこともあって、復元を望む声が寄せられていたという。

 モニュメントの鋳造を手がけた黒谷美術(富山県)は「大きさなどから制作に苦労したと聞いており、再設置は喜ばしい限り。岡山県のシンボルとして末永く輝き続けてほしい」としている。

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