郷土の誇り「筑波節」 雨情作詞、7月1日披露 茨城・つくば

筑波節の歌を披露する比気由美子さん(右)と舞を披露する田中牧子さん=つくば市吾妻

茨城県北茨城市出身の童謡詩人、野口雨情(1882~1945年)が作詞した民謡「筑波節」。1930年に作られ、地域の人々に愛唱されてきたが、近年は歌われる機会が少なくなっていた。7月1日に同県つくば市のホテル日航つくばで開かれる「第1回世界のつくばで子守唄」(実行委主催)で、歌手の比気由美子さん(66)=同県石岡市=と舞踊家の田中牧子さん(66)=つくば市=が、筑波節の歌と舞を披露する。貴重な上演の機会で、注目を集めそうだ。

筑波節は、筑波町(現つくば市)の依頼で、民謡「筑波小唄」とともに作詞された。作曲はいずれも藤井清水氏。両曲の再興に携わる脚本家の冠木新市さんによると、筑波山を舞台に男女の逢瀬(おうせ)が描かれている。雨情は実際に筑波山などを訪れて作詞しており、当地の気候や具体的な地名などが盛り込まれた。レコードの発売後、地域の宴席などで披露され盛んに歌われてきたが、60年代ごろを境に耳にする機会は少なくなっているという。

雨情生誕130周年に当たる2012年に筑波節と筑波小唄が収録されたレコードが発見された。冠木さんらはその音源をCDとして復刻。13年には筑波小唄の歌と踊りを学べる教室が開かれた。

歌を披露する比気さんは、筑波節について「優しい感じの独特の魅力がある歌」と話した。舞を披露する田中さんは、筑波節に出会ってから舞を始め、芸名「竹千代」で活動している。田中さんは「郷土の誇りとして若い人にも歌い継いでもらえればうれしい」と語った。

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