EU、日本食品の規制撤廃へ 7月末公表、検査証不要に

EU欧州委員会本部にはためくEUの旗=2月、ブリュッセル(ロイター=共同)

 【ブリュッセル共同】EU欧州委員会が2011年の東京電力福島第1原発事故後に日本産食品に課してきた輸入規制を完全に撤廃する方向で最終調整していることが29日、EU関係者の話で分かった。今年7月末にも公表される見通しで、撤廃すれば福島県産など10県の水産物やキノコ類に求められてきた放射性物質の検査証明書が不要になる。

 欧州委はモニタリング検査などの科学的知見に基づき、規制を撤廃するのが適当と判断した。7月にブリュッセルで予定される日本とEUの首脳会談でも議題になるとみられる。欧州27カ国が加盟するEUが撤廃に踏み切れば、日本政府としては規制を維持する中国や韓国などとの交渉が今後の焦点となる。

 欧州委の報道官は共同通信の取材に対し「食品の安全性は極めて重要な優先事項だ。原発事故以来、日本産の食品に特別な条件を課してきたのはこのためだ」と規制を維持してきた経緯を説明した。その上で「EUの措置は定期的に審議され、必要があれば最近の進展や新たな科学的データを考慮して修正される」と指摘。撤廃について公式の確認は避けた。

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