老舗町中華『珉亭』で味わう!東京・下北沢のソウルフード "赤いチャーハン"

変わりゆく下北沢に今なお残る、老舗町中華の名物"赤いチャーハン"

再開発が進みオシャレな店で溢れる下北沢。昔から劇場やライブハウスなどもあり、若者が集まる街としても有名ですが、今や古着やカレーのメッカでもあり、街ぐるみでカレー店巡りのイベントなども開催されている異彩を放つ街でもあります。
そんな変わりゆく下北沢は、"シモキタ"の愛称で愛されている街ですが、今も昔も輝きを放ち続けている町中華があるのをご存知でしょうか。

中国料理『珉亭』は、1964年に下北沢で産声を上げました。実は誕生した時は現在の場所から3分ほどの交番の近くにあったとか。1968年ごろに現在の地に移転し、約60年営業を続けている下北沢の名物スポットとなっています。
さまざまなメディアでも取り上げられ、また若かりし頃の有名人が多数バイトをしていたことでも有名ですが、今や必ず一度は立ち寄りたい"シモキタの聖地"ともいえるのではないでしょうか。

こんな老舗には必ずいくつかの名物メニューがあります。

今回ご紹介する名物の「チャーハン(935円)」は、TV番組内で有名タレントがその表現したことが発端となり"赤いチャーハン"の名で愛され続けています。今ではこの「チャーハン」目当てに来店する方も多く、私はお店で"赤いチャーハン"はこの普通のチャーハンのことであってます?」というやり取りを聞いたこともあるほどです。

この"赤いチャーハン"は、特にケチャップ等を入れている訳ではなく、味は卵とチャーシューが入ったシンプルなチャーハンです。

"赤い"理由はこのチャーシューにあり

今回先代のお嬢さんからお話しをお伺いしたのですが、お父上である先代は、各地を食べ歩きそこで体験した料理をお店のメニューに取り入れていたそうです。メニュー豊富な『珉亭』ですが、先代が各地で体験した名物がどんどんメニューに追加されたようで、以前はもっとメニュー数が多かったとか。「じゃじゃめん」や珉亭オリジナルと赤い文字で強調されている「坦々メン」も、当時先代のあくなき好奇心から作られたメニューの名残なのではないでしょうか。

そんな先代はチャーシューを食紅で赤く色付けして提供していたそうですが、当時チャーシューの周りの不揃いな赤い部分をチャーハンに入れていたところ、チャーハンに自然に赤い色がつき、現在の"赤いチャーハン"が完成したそうです。お話しを聞いていると、お父さんの作るごく当たり前のチャーハンがテレビ番組で紹介され有名になっちゃったという印象を受けました。

そんな先代の研究の結果生まれたであろう、赤いチャーシュー。

今では、名物ともなっている"赤いチャーハン"を目当てに多くのお客様が来店されるので、大きなボウルに赤く色付けされたチャーシューが用意されています。

チャーハンメニューもいくつかあり、「カレーチャーハン」や「蟹チャーハン」、「五目チャーハン」などがありますが、"赤いチャーハン"は単なる「チャーハン」とだけ記してあります。『珉亭』の定番の「チャーハン」が通称"赤いチャーハン"なのです。

名物"赤いチャーハン"は、もうひとつの名物"江戸っ子ラーメン"とセットになった"ラーチャン"で!

歴史が紡がれる中生まれたサービスメニューもあります。

もうひとつの名物は「江戸っ子ラーメン(825円)」で、シンプルな醤油ベースのラーメンには、辣白菜(ラーパーツァイ)という白菜の漬物が乗っているのが特徴です。このラーメンとチャーハンを半分づつ食べたいというリクエストを取り入れ、先代時代に母上の発案で作られたメニューが、「ラーチャン」と言われるサービスセットです。「江戸っ子ラーメ」と「チャーハン」が同時に食べられるだけでなく、辣白菜が別添になっていて「チャーハン」の箸休めにもなる、かゆいところに手が届いたメニューになっています。

メニューには、「ラーチャン/半ラーメン・半チャーハン(990円)」「ラーチャン・メン大/ラーメン・半チャーハン(1,045円)」「ラーチャン・チャン大/半ラーメン・チャーハン(1,210円)」と書いてあり、各地のメニューだけでなく純粋にお客さんの声を取り入れてきたであろう『珉亭』の懐の深さを感じます。

『珉亭』の店先のショーケースには、思わず「ウマイ!」と拍手をしてしまいそうな名言が書かれています。先代は確実にユニークな方であったに違いありません。変わりゆく下北沢ですが、今やシモキタの聖地でもある『珉亭』で、先代の好奇心と研究の末生まれた下北沢のソウルフード「チャーハン」や「江戸っ子ラーメン」を是非体験してみてくださいね。

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珉亭

〒155-0031 東京都世田谷区北沢2丁目8−8

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*この記事は2023年5月時点の情報を基に作成しています。

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ライター:道明寺さくら

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