問題続出のマイナンバーはどうすれば改善されるのか…世界のDX状況と比較

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。6月23日(金)放送の「New global」のコーナーでは、トラブル続きの日本のマイナンバーシステムを海外の制度と比較しました。

◆エストニア、フランス、韓国など世界のDX状況は?

トラブルが相次ぐマイナンバーカードに関して、岸田首相は「コロナ対応並の臨戦体制で対応にあたる」としていますが、果たして日本のマイナンバー制度に欠点はないのか。

海外の状況と比較してみると、デジタルガバメント先進国・エストニアでは、1991年に日本のマイナンバー制度にあたるものを導入。行政サービスの99%をオンライン化し、独自のプラットフォームで官民問わず利用できるようになっており、このエストニアのシステムには日本の政府関係者も関心を寄せているそうです。

一方、スウェーデンは戦後間もない1947年に導入。納税・医療・雇用など行政の他に口座開設・携帯電話契約など幅広く利用可能。そんなスウェーデンよりも早いのがフランス。戦前、1941年に国民に番号をつけて管理するシステムを採用。出生届が受理された際に番号を付与し、官民あわせて900種類のサービスが利用可能です。

また、同じアジアの韓国では1968年に住民登録証を17歳以上に取得義務化。官民あわせて1,300種類のサービスが利用可能で、デジタル化が進むにつれて、さらにさまざまな工夫を凝らしています。

株式会社ABABA代表の久保駿貴さんは、この中でもエストニアのデジタル先進性に感服。行政サービスの99%オンライン化は「他国と比べても突出している。ここから学ぶべきところは多い」とし、日本でも法人の登記や選挙での投票のオンライン化を熱望。

堀は、デジタル化を進めたことで世界の企業の登記を誘致することができたのもエストニアの大きな特徴のひとつだと補足します。

タレントのREINAさんはシステムの構築には「時間がかかるものだと思う」と理解を示しつつも、日本がデジタル化に関して遅れをとってしまったと言います。REINAさんの出身地であるアメリカでは生まれながらに"ソーシャル・セキュリティー・ナンバー”が与えられ、多くのサービスが気軽に受けられますが、来日時、日本にはアメリカ同様のサービスがないという衝撃とともに、さまざまなものがアナログであることに驚愕。アメリカ在住時と比べて、不便さを感じたといいます。

◆日本とデジタル先進国デンマークの大きな違いとは?

ロコタビが調査した海外の方の日本のマイナンバーシステムの印象は、現地の個人番号制度と比べ「はるかに遅れている」と答えた人が67.4%。とりわけデジタル先進国デンマークからの移住者の「サービス提供者・供給者ともにデジタルリテラシー教育が軽視されている印象」というコメントを紹介すると、堀も大きく頷きます。

というのも、堀が先日、デンマーク大使館の方に「日本と最も異なるデンマークの良さ」を伺ったところ「(デンマークでは)データは個人のものというのを徹底させている」、さらに「何をするにもコミュニケーションをしっかりと取り、ITリテラシーの教育に力を入れてきた」と答えていたとか。

デンマークも日本同様、サービス導入時には情報漏洩などさまざまなトラブルがあったものの、時間をかけてそれらを克服。コミュニケーションを取りながらUI(ユーザーインターフェイス)を改良。改善に次ぐ改善を重ねてきたそうで、なぜなら国は国民の大切な個人データを使わせてもらっているからで、その認識が政府と個人の信頼関係に繋がるという話をしていたそうです。

総じて堀は「技術が発達してもコミュニケーションが大事。長い年月をかけ、小さな失敗を積み重ねて改善していく。日本はまだ始まったばかりなので、今回の失敗、トラブルをどう克服していくか、それによって次の50年の日本のデジタルガバメントが決まっていく」と語ります。

映像プロデューサーの国山ハセンさんは、日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)化に関して「誰も取り残さないというのがひとつのテーマだと思うが、それにしても遅すぎる。もっと抜本的に舵を切る必要がある」と訴えます。

最後に、堀は「シンプルなデジタルガバメント」を提唱。そして「日本は社会保障費も医療費もその他もそれぞれから徴収しているからデジタルで統合するのは本当に大変。今、日本のデザインそのものが問われている」と熱弁していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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