トルコギキョウに”サブスク”向け サカタのタネ、大田花きが茎短い規格

サブスク向けに短く仕立てられたトルコギキョウ(右)(29日、東京都中央区で)

サカタのタネ(横浜市)と大田花き(東京都大田区)は29日、サブスクリプション(定額購入=サブスク)向けに、茎が短く日持ちのするトルコギキョウの栽培規格を開発したと発表した。7月から本格流通させる。効率的な輸送に加え、生産者の作業省力化や収入の安定が期待できるという。

消費者の人気が高いトルコギキョウだが、従来は業務向けの茎が長い上位規格が中心だった。短くて収量の多い栽培規格を確立することで、サブスクなどに用途を広げる。

新規格は、従来より20センチほど短い30~60センチ。無花粉のため横積みが可能で、従来の約10倍となる、1箱当たり300~400本の大量輸送ができる。栽培時の芽かき作業も省ける。サカタのタネの無花粉で一重咲きの品種「ソロPF」を使う。

生産者の収入安定も狙う。1本当たりの推定卸売価格は50~60円で、業務用と比べ単価は低い。ただ、1株から4~6本が収穫できるため「従来の業務用のような大きな1本を育てた場合と同等以上の収入が見込める」(大田花き)。サブスクは事前注文が中心で、売り先も安定するという。

今年は福島、長野県で生産し、7~9月で10万本の出荷を見込む。実需の感触も十分とし、「産地を他県にも広げていきたい」(同)と意気込む。

大田花きが推計する2022年の花の電子商取引(EC)・サブスク市場の規模は260億円で、コロナ禍前の19年から約3・5倍に急伸。23年は300億円を超え、今後も堅調に伸びる見込みという。

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