こども家庭センター 茨城県内26市町村が24年春までに設置

常陸太田市の子育て世代包括支援センター(資料写真)

自治体が子育て相談に総合的に応じる「こども家庭センター」について、茨城県内44市町村の半数超に当たる26市町村が来春までに設置する方針であることが県の調査で29日、分かった。改正児童福祉法の努力義務化に伴い、設置の動きが広がり、土浦など4市は既に稼働を始めた。妊産婦や子育て家庭、子ども自身に対し、支援窓口を一体化することで適切な後押しにつなげる。

調査によると、土浦、ひたちなか、常陸大宮、つくばみらい4市が既に設置した。水戸、日立、石岡、龍ケ崎、常陸太田、高萩、北茨城、笠間、取手など22市町村は来年4月1日に設置する方針で、ほか2市も同日以降の設置を予定する。調査は3月15日時点。

多くの市町村では、母子保健法や児童福祉法に基づき、妊産婦や子育ての相談に応じる「子育て世代包括支援センター」と、虐待や生活困窮に対応する「子ども家庭総合支援拠点」を既に設置。一方で、全国では児童虐待の相談対応件数が増加傾向にある。2機関を同センターに一本化して情報を共有しやすくすることで、対応の迅速化や支援体制の強化を目指す。

同センターの事業は、家庭への訪問による家事や子どもの送迎などの支援▽親子関係の形成支援▽不登校や家庭に問題を抱えた子どもの居場所づくり▽子育て負担を軽減する一時預かり-などを想定する。個別の支援計画も作成する。

昨年度、県は「健やかこども基金」を活用した同センターの整備を巡る補助制度を設け、市町村の設置を促してきた。

先行する土浦市は、2機関の機能を統一した「こども包括支援課」が既にあったことから、4月、課内に同センターを設置した。

対応に当たるのは、保健師と社会福祉士の正職員16人と有資格の非常勤職員。切迫早産で入院した母に代わって中学生の娘が家事を行う家庭のケースでは、従来なら母娘に別々の機関が対応していたが、一体的なサポートが可能となった。同課は「より良い支援が行える」と設置効果に手応えを示す。

県青少年家庭課の担当者は、同センターが設けられなくても既に機能が一元化できている自治体もあると説明し「設置判断は市町村の事情によって異なる」としている。

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