人材確保へ積極策 茨城県警 採用試験受験者減 セミナー、職質体験

県警のPR活動として行われる鑑識の業務体験(県警提供)

茨城県警の警察官採用試験の受験者数が減少傾向を続けている。少子化の影響を受け、競争倍率は2012年度の6.9倍から22年度は3.8倍に下落、内定辞退者も少なくない。県警は優秀な人材確保の機会を逃さぬよう、新型コロナウイルス禍で中断していた実習などを再開。「5類」移行を契機に、受験者増を目指して積極策に乗り出した。

県警警務課によると、警察官採用試験は5~7月と9~11月の年2回。筆記や体力検査の1次試験、面接や身体検査の2次試験を経て採用が決まる。本年度の第1回試験は、申し込みが前年比130人減の461人。うち受験者は約8割の360人だった。

12年度に1832人だった受験者は18年度に千人を割り込み、その後も回復の兆しが見えない状況だ。競争倍率も17年に5.0倍を割り込み、近年は4.0倍前後で推移。内定辞退者も毎年数十人いるという。

受験者減少の要因の筆頭は少子化の加速。そのため求職者に有利な売り手市場が続いており、民間企業の内定も早まっている。

県警警務課の須永昇総括理事官は「優秀な人材を確保する上で志願者が減るのは良くない」と危機感を募らせる一方、「警察官となる適格性の基準は落とせない」と苦しい胸の内を語る。

こうした中、新型コロナが感染法上の「5類」に移行。県警はコロナ禍で3年余り中断していた受験者向けの各種イベントを再開し、警察官という仕事の魅力発信を本格化させている。

今月4日には希望者対象のセミナーを実施。今後は鑑識やサイバー犯罪捜査官、職務質問を体験する実習、県警察学校のオープンキャンパスなども計画中だ。

県内で過去の採用者が多い高校には、卒業生が登場する現職警察官のポスターを配布。動画投稿サイト「ユーチューブ」でも、採用後に入校する警察学校についての動画を増やしている。

このほか、合格者に業務内容の説明会を設けたり、採用係がLINE(ライン)でメッセージを送って信頼関係を構築したりして、内定辞退を一人でも減らす取り組みも強化している。

受験年齢上限は本年度、33歳未満から35歳未満に引き上げ、試験区分に「職務経験」を設けて幅広い世代から人材を求めることにした。須永総括理事官は「広報活動を通じ、就職活動の選択肢の一つとして検討してもらえるようにしたい」と話した。

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