那須雪崩事故・民事訴訟判決確定へ 県と県高体連、控訴しない方針

栃木県庁

 栃木県那須町で2017年3月、登山講習会中だった大田原高山岳部の生徒7人と教諭1人が死亡した雪崩事故を巡り、5遺族が県や県高校体育連盟(県高体連)、講習会の責任者だった教諭ら3人に損害賠償を求めた訴訟で、県と県高体連に約2億9千万円の賠償を命じた宇都宮地裁判決について、県と県高体連が控訴しない方針を固めたことが30日、関係者への取材で分かった。遺族側も控訴しない方針で、地裁判決が確定する公算が大きくなった。

 判決は雪崩事故の発生について、遅くとも事故当日朝の時点で気象状況などを確認していれば「なだれ発生の可能性を認識できる状況だった」と指摘。「雪崩に対する危機意識の希薄さから、3教諭や県高体連が講習会を中止しなかったことが一因と言える」と判示した。

 死亡した引率教諭に対し、県などは自身の生命を守る判断ができたはずとして過失相殺の適用を主張していたが、判決は「引率教諭に過失は認められない」と判断した。

 28日の記者会見で阿久澤真理(あくさわしんり)県教育長は、主張した過失相殺の適用が退けられたことについて「残念だが、裁判所の判断を重く受け止めたい」と話し、控訴の有無については「判決内容の詳細を分析して決める。近日中に方向性を出す」としていた。

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