夕霧と雲居雁が再会し結婚~巻名:梅枝・藤裏葉~【図解 源氏物語】

明石の姫君の入内準備

源氏は明石の姫君の裳着の準備をしていました。2月に東宮が元服したら、明石の姫君は東宮の女御として宮中に入る予定だからです。年末年始の行事が一段落した1月末、源氏は明石の姫君のために薫物の調合をしようと考え、六条院の女性や朝顔の元の斎院らに香木を届けて調合を頼みました。2月10日、雨の中でひときわ紅梅が香る中、源氏の弟の兵部卿宮が訪れたので、源氏は、この機会に薫物合(たきものあわせ)をしようと思いつきます。女性たちの調合した薫物が集められ、兵部卿宮が審判しました。翌日、秋好中宮の御殿で明石の姫君の裳着が行われました。腰結役は中宮が務めました。「秋好中宮にあやかって、いずれは中宮に」という願いを込めて、源氏が依頼したからです。義母である紫の上は参上しましたが、実母である明石の君は、身分の低さから参上を許されませんでした。

2月下旬に東宮が元服しました。源氏に遠慮して、他の姫君が入内を控えたので、源氏は明石の姫君の入内を4月に延期し、さらに名筆や立派な書物を集めるなどの準備をしました。明石の姫君の入内準備の噂を聞いた内大臣は、入内もできない雲居雁を不憫に思い、また、夕霧に縁談があると聞いて、焦りはじめます。娘盛りで美しくなった雲居雁をは、夕霧と会えない日々の中で深く沈んでいます。それがかわいそうで、内大臣は自分が仲を裂いたことを後悔し、夕霧の意向を聞いてみようかと考えるのでした。

薫物・・・さまざまな香木や香料を粉末にし、調合し蜜で練り固めた香。
薫物合・・・各人が調合した練香り香を焚き、優劣を判定する遊び。

貴族の葬儀・追善供養

貴族が死ぬと、その遺族は仏教の考えに則り、多くの僧を参加させて葬儀・法事を盛大に行った。

臨終・・・死者が西方の極楽浄土に行けるよう、遺体を北枕にして西向きに寝かせる。陰陽師が葬儀の日取りを決める。遺族はこのあと、律令に定められていた一定期間、黒や鈍色の服を着て仏事に専念。
葬送・・・遺体を沐浴して棺に納め、夜になったら棺を牛車に乗せて葬送地(京都東山の鳥辺野あたりが多かった)へ向かう。近親者は徒歩で従う。
殯・・・葬送地に魂殿(たまどの)を建て、葬儀までの間、棺を一時的に安置する(殯 もがり)。
葬儀・・・当時は風葬が一般的で土葬も行われたが、貴族は火葬されることが多かった。僧が念仏するなか、棺に火をつけ、一晩以上かけて燃やす。特権階級の死者には墓が建てられた。
中陰・・・死後49日後(中陰)は、死者の霊魂が迷っているとされ、この間、初七日をはじめとし、7日目ごとに法事を行う。49日目の七七日(ななぬか 満中陰)には、盛大な法事を営む。
忌日・・・死者の死んだ日「忌日 きにち」(毎月、あるいは、毎年のその日)には、法事を行い、死者を供養する。一回忌、三回忌には多くの人が集まる。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 源氏物語』高木 和子

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【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 源氏物語』
高木 和子 監修

平安時代に紫式部によって著された長編小説、日本古典文学の最高傑作といわれる『源氏物語』は、千年の時を超え、今でも読み継がれる大ベストセラー。光源氏、紫の上、桐壺、末摘花、薫の君、匂宮————古文の授業で興味を持った人も、慣れない古文と全54巻という大長編に途中挫折した人も多いはず。本書は、登場人物、巻ごとのあらすじ、ストーリーと名場面を中心に解説。平安時代当時の風俗や暮らし、衣装やアイテム、ものの考え方も紹介。また、理解を助けるための名シーンの原文と現代語訳も解説。『源氏物語』の魅力をまるごと図解した、初心者でもその内容と全体がすっきり楽しくわかる便利でお得な一冊!2024年NHK大河ドラマも作者・紫式部を描くことに決まり、話題、人気必至の名作を先取りして楽しめる。

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