泉北高速鉄道(大阪府和泉市)は2023年6月30日、8月上旬に運行を開始する新型通勤車両「9300系」を報道公開しました。老朽化した3000系車両の代替車両という位置づけで、今回は4両編成を2本導入します。
9300系は親会社である南海電鉄の「8300系」(2015年登場)をベースとした車両です。車体は軽量ステンレス製で、先頭部だけ鋼製。MT比は1:1、設計上の最高速度は120km/h。制御装置の主回路素子にハイブリッドSiCを採用し、照明器具にLEDを採用したことで高い環境性能を実現しています。置き換え対象である3000系と比較すると、消費電力はおよそ半分になります。
「泉北らしさ」は外観デザインでアピール。9300系の先頭部は従来の通勤車両と同じ「アイボリー」で塗装し、側面の帯色は泉北高速鉄道のラインカラーとして定着している「ブルー」に。先頭車両の側面にはブルーの「SEMBOKU」のロゴをあしらい、スタイリッシュに仕上げています。
内装は木目調で「安らぎの空間」を演出
南海8300系も新しい車両では車内に「木目調」のデザインを採用していますが、泉北9300系はより濃い色調となっているのが特徴。まるで家の中にいるような落ち着きと安らぎの空間を演出しています。モケットの色は一般座席が赤系の濃淡2色、優先座席は黄色です。
特徴的なのはドア横のスペースが広めにとられている点でしょうか。9300系ではすべての車両に多目的スペース、車いす・ベビーカースペースが配置されており、キャリーバッグなど大きな荷物をお持ちの方も利用しやすいよう配慮されています。
環境と人に優しい新型車両9300系、当面は4両編成を2本連結し、8両で和泉中央~難波駅間を走ります。泉北高速鉄道ではデビュー前に運転体験イベントや試乗会も予定されているといます。
記事:一橋正浩