ルノー、トヨタ、シボレー、ホンダがトップ4を分ける激戦。選手権首位が交代/TC2000第6戦

 全12戦の2023年シーズンも折り返しを迎えたTC2000(旧スーパーTC2000)第6戦が、アルゼンチンはブエノスアイレス州のアウトドローモ・サン・ニコラスで開催され、ルノー、トヨタ、シボレー、ホンダという4つの異なるブランドが上位を分ける激戦のなか、前戦で予選ポールポジションからシリーズ初勝利を達成したファクンド・マルケス(ルノー・フルーエンスGT)が早くも2勝目を記録。最終ヒートではホンダ、トヨタの日本車勢と直接対決を演じたフランコ・ヴィヴィアン(シボレーYPFクルーズ)が勝利を挙げ、新たな選手権リーダーに浮上している。

 最高出力で500PSに迫ろうかという2リッター直列4気筒直噴ターボを搭載する“世界最速”のFFツーリングカー選手権であり、同時に「南米で技術的最高峰のモータースポーツ」を宣言するTC2000は、6月23~25日の週末に“ファン-マリア・トラヴェルソ”のトラックで前半戦最後のレースウイークを迎えた。

 週末を前にしたランキング首位は、引き続きチャンピオンのリオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)が維持し、背後に16点差として18歳の新鋭イグナシオ・モンテネグロ(ルノー・フルーエンスGT)が続くオーダーとなっていたが、ルノー陣営のアクシオン・エナジー・スポーツTC2000を牽引する若手有望株も「とてもやる気満々でサン・ニコラスに到着した」と、走行を前にその意気込みを語っていた。

「ここは昨季のSTC2000で初優勝を果たしたサーキットだし、その結果が自信となってふたたび優勝を飾ることができた。その勢いのままチャンピオンシップでのさらなる上位進出を目指したい」と続けたモンテネグロ。

「もちろん、チームも非常に良い時期を迎えているし、それも重要なポイントなんだ。僕らのルノー・フルーエンスGTが良いパフォーマンスを発揮してくれるおかげで、開幕からここまで積み重ねてきた戦績を活かさなくちゃならない」

「このカテゴリーは非常に競争が激しく、気を緩める隙間はない。だからこそ、僕はアクシオン・エナジー・スポーツTC2000のメンバー全員とともに日々成長し、ここまで上昇してきた同じ道を歩み続けたいと考えているんだ」

 その18歳が6番手で走り出しを終えた金曜FP1では、こちらもトヨタ陣営のTOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナ(TGRA)で売り出し中のルーキー、ファクンド・アルドリゲッティ(トヨタ・カローラTC2000)が首位に立ち、ルノー陣営で今季初参戦わずか5戦目のサンホルヘにて“ポール・トゥ・ウイン”を決めたばかりのマルケスを挟み、3番手にはTGRのエースを務めるジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラTC2000)が続くオーダーとなる。

アウトドローモ・サン・ニコラスで昨季初勝利を挙げた18歳の新鋭イグナシオ・モンテネグロ(ルノー・フルーエンスGT)
その好相性を見せつけるかのように、雨絡みとなった予選で通算3回目の最速タイムを刻んで見せた
レース1では、前戦で予選ポールからシリーズ初勝利を達成したファクンド・マルケス(ルノー・フルーエンスGT)が早くも2勝目を記録する

■4メーカーがトップ4を分けるレース1に続き、レース2もバトル勃発

 しかし明けた土曜からはルノー陣営がわずかに優位に立ち、FP2でマルケス、サンテロ、モンテネグロのトップ3に変わると、コース上の気象条件がより複雑化した予選では現状の総合力と勢いの差が顕在化。完璧なラップを決めたモンテネグロが通算3回目のポールを奪い、このトラックでどれほど良い感触を持っているかを明らかにした。

 同じく予選2番手にはシボレー陣営のYPFエライオン・オーロ・プロ・レーシングからヴィヴィアンのクルーズが続き、以下3番手にルノーのマルケス、4番手にトヨタのサンテロ、5番手が王者ペーニャのトップ5に。日曜25分+1周の決勝はシリーズ独自のスタートドローにより、マルケスのフルーエンスGTが最前列スロットからスタートする権利を得た。

 第5戦同様、日曜決勝の先頭からレースを始めたルーキーのマルケスは、同じく背後から追随したトヨタのアルドリゲッティと主役を分け合う速さを見せると、お互いに一騎打ちの構図を維持したまま最終ラップに到達。要所で“プッシュ・トゥ・パス”の機能も活かしたマルケスがポールの優位性も活用し、2戦連続の“ライト・トゥ・フラッグ”を飾る結果となった。

 2位のTGRAカローラに続き、最後の表彰台となる3位にはシボレーのヴィヴィアンが入り、4位にはFPからつねにトップ5を伺っていたシリーズ連覇経験者、ホンダ陣営YPFホンダRVレーシングのファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックTC2000)が並び、これでトップ4がすべて異なるブランドというTC2000の激戦ぶりを示すリザルトとなった。

 現地正午を過ぎて開始されたレース2では、姉妹カテゴリーの“TC2000シリーズ”とセッションを共有するなか、最初のターンからトヨタ(アルドリゲッティ)、ルノー(マルケス)、シボレー(ヴィヴィアン)、ホンダ(アルドゥソ)が“4WAY,4WIDE”のバトルを演じるホットな展開に。

 ここからレース1で“プッシュ・トゥ・パス”機能の使用回数を温存していたヴィヴィアンが抜け出してリードを奪い、周回を重ねるごとに後続を突き放してチェッカー。今季2勝目、キャリア通算5勝目を飾り、連続表彰台により新たな選手権リーダーに浮上することとなった。

 2位にはホンダのアルドゥソ、3位には惜しくも週末の勝利には届かなかったルノーのモンテネグロが入り、これでふたたびマルチブランドの表彰台となったTC2000シリーズ。後半戦開幕となる第7戦は、同国北西部ラ・リオハ州の山間部に位置する美しい山並みを望むアウトドローモ・シウダード・ラ・リオハで、7月14~16日の週末に争われる。

TGRのエースを務めるジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラTC2000/左)、新生YPF Honda RV Racingのファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックTC2000/右上)、そしてAxion Energy Sport TC2000の王者リオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)らもつねに上位へ絡む
レース2最初のターンからトヨタ(アルドリゲッティ)、ルノー(マルケス)、シボレー(ヴィヴィアン)、ホンダ(アルドゥソ)が”4WAY,4WIDE”のバトルを演じるホットな展開に
フランコ・ヴィヴィアン(シボレーYPFクルーズ)がレース2で今季2勝目、キャリア通算5勝目を飾り、連続表彰台により新たな選手権リーダーに浮上することとなった

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