ドライからウエットに、雨の予選でプロカー13台がSP進出逃す。ブロンズ・ポルシェが首位/スパ24時間

 ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで6月29日、『クラウドストライク・スパ24時間レース』の予選が行われ、ピュア・レクシングの911号車ポルシェ911 GT3 R(クラウス・バクラー/アレックス・マリキン/ジョエル・スターム/マルコ・ゼーフリート組)が総合トップタイムを記録した。

 GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ(GTWCヨーロッパ)第4戦、およびIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ第3戦として行われる2023年のスパ24時間では、30日(金)に予選トップ20に入ったマシンが進出する“スーパーポール”が実施されるが、911号車を含むブロンズカップの車両やゴールド、シルバー、さらにはプロ・アマカップのマシンが多数20番手以内に入ったため、プロクラスに参加している13台のGT3カーがポールポジションを争う“予選最終セッション”に辿り着けない波乱の展開となっている。

 この波乱を生み出した原因は、4つのセッションで構成された予選中に降り出した雨だ。予選順位は各車3~4名のドライバーの平均ラップタイムによって決定される。

 4人のドライバーを擁するチームはQ1から、3人のチームはQ2から参加し各15分のセッションに挑むことになるが、予選が行われた29日(木)夜はQ1の終盤から雨が降り出した。このため4人のドライバーで1台をシェアするチームは、ドライ路面で行われたオープニングセッションでのタイムによって平均タイムを大幅に短縮することが可能となったのだ。

 Q2でのタイムダウンは2秒ほどに留まったが、その後は雨脚が強まりコースコンディションはダンプからフルウエットに。Q3とQ4でのタイムは2分30秒台と、ドライ路面で記録されたタイムから10秒以上遅くなっている。

 全4回のセッションが終了した時点でタイムシートの最上段に位置していたのは、プレ予選でも2分17秒924の最速タイムを記録したブロンズカップエントリーのピュア・レクシング911号車ポルシェで、4人の平均タイムは2分28秒569だった。

 同じく2分28秒台に入ったのは2番手オプティマム・モータースポーツの5号車マクラーレン720S GT3エボのみで、3番手となったフーバー・モータースポーツ20号車ポルシェ911 GT3 R以下、アイアン・デイムスの83号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2、ブーツェンVDSの9号車アウディR8 LMSエボIIの3台が2分29秒台の平均タイムを記録している。

 Q1を走っていないプロカーの最上位はマンタイEMAの92号車ポルシェ911 GT3 Rで、ジュリアン・アンドラウアー、ローレンス・ファントール、ケビン・エストーレのドライブで総合7番手となった。この他トップ10に入ったプロクラスのクルマは、グループMレーシングの999号車メルセデスAMG GT3と、トレゾア・アテンプト・レーシングの40号車アウディR8 LMSエボIIだ。

6月29日(金)のフリープラクティスでトップタイムを記録した998号車BMW M4 GT3(ローヴェ・レーシング) 2023スパ24時間
予選をトップで通過したピュア・レクシングのクラウス・バクラー/アレックス・マリキン/ジョエル・スターム/マルコ・ゼーフリート組(911号車ポルシェ911 GT3 R) 2023スパ24時間

■カルダレッリ駆るランボルギーニがBMWに追突される

 スーパーポール進出圏内の20番手までにはAFコルセの51号車フェラーリ296 GT3をはじめ、公式テストで好調だったアウディスポーツ・チーム・コムトゥユーの11号車アウディR8 LMSエボII、同じくアウディ陣営のシェラー・スポーツPHXの17号車、K-Paxレーシングの6号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2の計4台が入っている。

 一方、ディフェンディングウイナーであるアコーディスASPチームの88号車メルセデスAMG GT3は23番手グリッドからのスタートが決定した。また、バレンティーノ・ロッシを擁すチームWRTが走らせる2台のBMWも21番手、22番手でハイパーポール進出を逃している。

 ランボルギーニのワークスドライバーたちが乗り込んだアイアン・リンクス63号車は、アンドレア・カルダレッリがQ2でアクシデントに見舞われた影響でQ3への出走が叶わず。予選を69台中62番手で終えることとなった。カルダレッリは、SROモータースポーツ・グループのピットレーンTVレポーターに対し、次のように語った。

「最後のラップを走っているとき、前を走っていたアウディがターン15でスピンしたんだ。僕をそれを避けたけど運悪くブラインドコーナーだった」

「WRTのBMWが後ろからぶつかってきたと思う。彼はかなり速いスピードで突っ込んできた。(63号車には)パワーステアリングに問題が出ていると思う。何と言えばいいのかわからない。クレイジーなセッションだった。コンディションも良くなかったしね」

 スーパーポールには、ブロンズカップから7台、シルバーカップ3台、ゴールドカップは2台、プロ・アマ1台、そしてプロクラスからは7台が出走する。プロ以外のカテゴリーのチームは、シュートアウトに参加するドライバーを指名することが可能だ。

 今大会のポールポジションを決定する“最終予選”スーパーポールは、30日金曜の15時35分(日本時間22時35分)開始予定となっている。

5号車マクラーレン720S GT3エボ(オプティマム・レーシング) 2023スパ24時間
20号車ポルシェ911 GT3 R(フーバー・モータースポーツ) 2023スパ24時間

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