みちのくダービー直前特集!モンテディオ山形MF田中渉が語る決戦への決意とは

7月1日、NDソフトスタジアム山形でモンテディオ山形とベガルタ仙台との今季2度目となる「みちのくダービー」が開催される。

5月13日のダービーは仙台が2-1で山形を下したが、山形はリベンジに燃えている。シーズンダブルを狙う仙台が白星を奪取するか、それとも13年ぶりのリーグ戦でのダービー勝利を掴むのか。

決戦前に、仙台にも所属した山形MF田中渉がQolyのインタビュー取材に応じた。ダービー、3クラブに渡って指導を受けた渡邉監督、古巣仙台、兄からの刺激などを熱く語った。

――みちのくダービーへの意気込みを教えてください。

アウェーで、ものすごく悔しい負け方をしてしまった。ホームで絶対に負けるわけにはいかない。

勝ちしか考えてないので、それに向かっていい準備をしています。

――いまの仙台へのイメージや印象について教えてください。

個々のレベルは高いです。相手が波に乗ってきたら、強いチームだと思う。

そこで相手の勢いに負けずに、僕たちがそれ以上に力を出して自分たちの試合ができれば必ず勝てると思います。

――山形所属前は仙台に所属していました。仙台にはどのようなプレーで恩返しをしたいですか?

(仙台の)サポーターの方々は、ものすごく温かくていまでも感謝しています。人数が少なくなりましたけど、一緒にプレーした選手や参考にしていた選手、お世話になった先輩が多い。

恩返し弾もそうですし、点も取りたいです。まずは山形が勝つことで、山形も僕も成長したところを見せればいいと思っています。

高校の大先輩との直接対決の可能性も

――出場すれば桐生第一高の大先輩である蜂須賀孝治選手とマッチアップする可能性もありますが、対戦は楽しみですか。

僕が高卒で入ってからすごくお世話になりましたし、サッカーもサッカー以外のところでも助けてもらいました。

(対戦は)物凄く楽しみですし、いまの僕がこれだけ成長したというころは見せたいですね。

――みちのくダービーでは山形側の勝利がリーグ戦で13年遠ざかっている状況です。チームとしてどのような戦いを見せて勝ちたいですか?

90分間アグレッシブに相手の良さを消して、どんどん点を取りに行くぞという姿勢は必ず見せたい。

僕自身は攻撃の選手なので、攻撃面で色々なアイデアや、得点に絡むプレーを見てほしいです。(サポーターには)そのあと押しをホームでしてほしいです。

――序盤戦チームは成績低迷により監督交代がありました。立て直す上で気持ちの持ち方など変えた部分はありますか。

僕個人としては開幕からずっと試合には絡めていなかった。まずは自分が試合に出るためにどこ伸ばして、どこ課題として直していけばいいかを考えていました。

試合に出るようになってからは、まずはチームの為に攻守においてハードワークすることを意識してやっています。

――渡邉監督とは仙台、山口で指導を受けました。田中選手にとって渡邊監督はどのような存在でしょうか。

選手全員とコミュニケーションを取る監督です。試合では色々な策を練ってやってきてくれると思うので、それにしっかり選手たちも合わせてやっていくことが大事だと思います。

僕個人としては仙台、山口、山形でも一緒にやれてっていうのは嬉しいですし、心強い存在だと思います。

名将からの大きな期待

恩師渡邉監督から仙台、レノファ山口、山形で指導を受けた田中。渡邉監督は田中の才能を高く評価している。

渡邉監督は愛弟子への期待を口にした。

――今季田中選手に期待する働きと成長する上で克服してほしい課題を教えてください。

ゴールに関わる部分ですよね。栃木戦で決めた彼のゴール、アウェーのヴェルディ戦で藤本佳希に出したスルーパス、いわき戦で加藤大貴が決めたゴールのアシストと、ゴールに直結するプレー、得点、アシスト。そういったものは、もっと彼には発揮してほしいと思っています。

違いを生める選手と僕は認識しているので、当たり前のことは当たり前にやって、技術の高い選手がミスしちゃいけないところはミスしちゃダメ。限りなく(ミスを)0にする。チームの勝利に貢献するようなラストの結果の部分に、彼がどれぐらい残せるかは一番期待している部分です。

あとは彼が1人のプレーヤーとして、もっと成長して大きくなるためには、彼のウィークの部分の切り替えの遅さや、守備への意識はもっと高めて、もう1つ、2つレベルアップをする上では必要になってくる。そういったところも同時に克服してほしいと思っています。

その期待は結果で応える

田中も名将からの期待をしっかりと理解している。決定的なプレーで、山形を高みへと導く覚悟を決めている。

――渡邊監督は田中選手に得点に直結するプレーを期待しています。期待されているプレーの精度など、今後どう努力して伸ばしていこうと考えていますか。

そうですね。そこは自分も得意なプレーでありますし、だからこそまだまだ全然足りないと思っている。そこの部分でもっと、もっと最後の精度を上げていかなければいけないと思う。

そこでいいパスや、得点を決めることができれば、このダービーの勝利につながってくると思う。そこをもっとこだわってやっていきたいです。

――渡邊監督が田中選手の課題として挙げていた部分が攻守の切り替えの部分です。そこはどう克服していきますか。

切り替えのところは意識で変えられるところはあると思うので、そこをしっかりサボらずやる。

守備の部分のポジショニングや追い方は、もっと改善していければ、チームとしてプレスのかけ方や、ハメ方ができると思う。

――渡邊監督の指導を受けて伸びた部分を教えてください。

攻撃のところでは自由にやっていいというか。僕が最初に山形来て初めてスタメンで出るときに「自分の感性を信じてやれ」と言われたことによって、いい意味でのびのびプレーをできていると思っています。

先輩から学び、兄から刺激を受ける

――現在山形で参考にしている選手や見本としている選手はいますか。

そうですね。(南)秀仁くんはいい意味で脱力していて、どんなときも焦らない。常に自分のペースでやっている。そういうところはすごいと思います。1回ミスすると少しプレーの精度が落ちたりする部分が自分にはまだまだあるので、そこはすごく参考にしています。

――山形の在籍が長い山田拓巳選手やベテラン勢から学んだことはありますか。

どこのチームに行っても在籍が長い人はいるので、毎日、毎日の刺激になっています。チームへの気持ちの持ち方や、1試合、1試合に臨む姿勢は凄い熱量でやっていると思うので、刺激になっています。僕はまだ山形1年目ですけど、そのぐらいの気持ちを持って試合に臨まないといけないと思います。

――まだ山形に来たばかりですけど、チームや町の印象を教えていただいてもいいですか。

チームの雰囲気はすごくいいと思います。若手、ベテランのつながりもすごく仲がいい印象があります。すごく馴染みやすかったです。

町の印象だと、最初来たときは雪がすごかったんですけど、穏やかな町ですし、人が暖かいです。サポーターの方も、暖かいし優しい印象があります。

――優しくて暖かい山形サポーターに応援されたらダービーで勝ちたいという気持ちは強くなりそうですね。

町中で声をかけてくれる人や、スタジアムに来て応援している方、たくさん山形を応援してくれている人はいると思う。その人たちのためにも僕たちがしっかり今週勝って、勝利した姿を見せたいと思います。

兄・宏武(左)

――お兄さんの宏武さんが北海道コンサドーレ札幌でプレーされていますけど、お兄さんの存在は刺激になっていますか。

もちろん(刺激に)なっています。一昨年、内定が決まったときはうれしかったです。嬉しかった反面、ずっと負けたくないという気持ちもある。お互い、いい刺激になっていると思います。

――来季J1に昇格してお兄さんと戦いたい気持ちはありますか。

そうですね。まずは山形がJ1に昇格することが一番だと思いますし、同じチームよりは対戦したい気持ちの持ちの方が強いです。

ダービーでやるべきことは分かっている

――みちのくダービーでどう戦うのかについて、明かせる範囲で具体的なビジョンがあれば教えてください。

仙台は個々のレベルがすごく高いと思う。例えば松下選手の縦パスなど、そういうところを自由にさせないことが大事になると思います。

相手も前から来ると思うので、そこでビルドアップでしっかり外すことができれば、自分たちのペースに徐々になっていくのかなと思います。

――そのうえで田中選手が決定的な仕事をこなす上で何が必要と思いますか。

(試合に)出たらビルドアップの部分だったら、プレスが来たときにうまく相手の中間ポジションに入って、うまく自分がボールを引き出したい。

相手のプレスを回避することができたら、前線にはスピードのある選手がいるので、そこで裏を上手く使えれば、得点に繋がってくると思います。

――今季の目標を教えてください。

僕個人としては得点とアシストで15以上を、シーズン前から掲げています。まだ全然なので、これからもっと得点やアシストができるようにやっていきたいです。

仙台を良く知る田中は、青白のシャツを身にまとってリベンジに臨む。

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みちのくダービーは、あす7月1日午後7時30分にNDソフトスタジアム山形で開催される。

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