ユネスコ、米国の再加入承認 多国間主義へ回帰鮮明

パリのユネスコ本部前ではためくアメリカの国旗=2017年10月(ロイター=共同)

 【パリ共同】国連教育科学文化機関(ユネスコ、本部パリ)の臨時総会は6月30日、トランプ前政権時代に脱退した米国の再加入を承認した。バイデン政権の多国間主義回帰の姿勢が鮮明になり、ユネスコのアズレ事務局長は「ユネスコをさらに強力にする」と歓迎した。

 米国は2011年から18年の脱退までの分担金支払いを凍結。再加入の条件として、推定6億1900万ドル(約890億円)に上る未払い金を数年に分けて支払う意思を示している。ユネスコ予算の22%に当たる分担金を支払っていた米国の再加入で、大幅な財政増が見込まれる。

 アズレ氏は30日「ユネスコにとっても多国間主義にとっても素晴らしい日だ。米国の復帰により、ユネスコは使命を果たすために一層強力な立場に立つ」と意義を強調した。米国は6月8日、アズレ氏に書簡を送り、7月に再加入する意思を伝えていた。

 加盟193カ国・地域は30日の臨時総会で米国の提案を検討。再加入決議案のとりまとめは日本が主導し、多数の国が賛成し採択された。中国やロシアなどは反対に回った。

国連教育科学文化機関(ユネスコ)のロゴ(AP=共同)

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