奈良の石上神宮で「でんでん祭」 神剣供え御田植神事も

拝殿を神田に見立てて農作業が演じられた御田植神事=30日、天理市布留町の石上神宮

 奈良県天理市布留町の石上神宮で30日、「神剣渡御祭(しんけんとぎょさい)」があった。雨模様のため末社神田(こうだ)神社への渡御行列は中止され、「御田植(おたうえ)神事」も同神宮の拝殿で営まれた。

 拝殿での本宮祭に続き、拝殿内に設けられた神田神社の遥拝所に神剣を供え、同神社例祭を執り行った。その後、拝殿内を神田に見立てて、作男と早乙女が田起こしから田植えまでの農作業をユーモアを交えて演じた。神事に使用した苗は害虫よけや疫病退散、除災招福になるとされ、参列者は大事に持ち帰った。

 通常は神剣の渡御行列が太鼓を打ち鳴らして進むことから「でんでん祭」の名で親しまれる行事。コロナ禍の影響で祭典は4年ぶりに参列者を交えての斎行となったが、渡御行列は雨天だった2019年以来、5年連続の中止となった。

 祭典後、森正光宮司は「大和の国で一番遅いお田植えの神事が無事に終えられ、今年は豊作でしょう。来年こそはお渡り行列をできれば」と述べた。

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