牧野富太郎の生涯紹介 水戸市植物公園 西川園長〝こだわり〟企画

牧野富太郎の人となりを紹介するパネルを熱心に読む来場者ら=水戸市小吹町の水戸市植物公園

■パネルで功績や人柄

水戸市植物公園(同市小吹町)で、NHK連続テレビ小説「らんまん」のモデルになった植物学者・牧野富太郎(1862~1957年)の生涯や著作などを紹介する展示が開かれている。〝牧野オタク〟を自認する同園の西川綾子園長が企画した。西川園長が古書店で買い集めた書籍など約40点の資料を展示。西川園長は「植物の面白さを感じてもらい、植物好きの子どもが一人でも増えれば」と来場を呼びかけている。

「1500以上の植物に名前をつけた」などと、牧野の功績や人柄をまとめたパネルでは、常に白いワイシャツにちょうネクタイの正装で植物採集に臨んでいたというエピソードを紹介。その理由を「恋人である植物に会うのだから」という牧野の言葉で伝えている。

「牧野式植物図」も見どころの一つ。精密な描写や、花期や果実期といった植物の一生を1枚の紙に収める構図などが牧野の特長で、ウツボカズラやムジナモなど、西川園長好みの食虫植物をはじめ、市民になじみの深い草花の植物図約10点を展示している。

牧野が日本で初めて学名をつけたヤマトグサについては、西川園長が今年4月に筑波山山頂で撮影した動画で紹介。垂れ下がったおしべが風に揺れる映像を楽しめる。

茨城県那珂市から夫婦で訪れた宇佐美利明さん(71)は「(植物図で)ムジナモの線をとても細かく表現していて、よっぽど植物が好きだったんだなと感じた」と話した。

子どもたちにも関心を持ってもらおうと、同展と連動したクイズシートを市内36の小学校に配布。同園の植物館で答え合わせをし、別刷りのスタンプカードにはんこを押してもらうと限定グッズがもらえる。対象は小、中学生。シートとカードは同園でももらえる。

西川園長は「(牧野は)好きなことをとことん貫いた人。子どもの中から、未来の植物学者が生まれたらうれしい」と話している。

同園の観賞大温室内にある多目的室で、8月31日まで。月曜休園。同園(電)029(243)9311。

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