「与党には前向き答弁、野党には反対」 石垣市、新任課長向け文書に明記 議会対応に差か

 【石垣】沖縄県石垣市が4月に新任課長8人を対象とした意見交換会で、議会での答弁対応として「一般的に与党であれば前向き・積極的」に「野党であればその反対」などと記した文書を配布していたことが30日、分かった。野党会派「ゆがふ」の内原英聡市議が市への情報公開請求で入手した。野党市議は「公務員が全体の奉仕者でなく一部の奉仕者になっている」と問題視。識者は「与野党関係なく公平な行政サービスを心がけることが必要だ」と指摘した。

 石垣市の翁長致純(ちじゅん)総務部長が30日夕、報道陣の取材に応じ、議会答弁術がまとめられた書籍から抜粋し自身が作成したと説明した。課長になると議会答弁の作成業務が始まることから職員教養の参考として作成したという。

 文書は44ページ。議会の仕組みや議員への対応、答弁の基礎知識などがまとめられている。翁長部長は4月、業務時間内に新任課長に配布し、説明に用いた。文書の使用は昨年から始めたという。

 野党軽視と取れる文言があることについては「現実でしょ」と述べ、野党への対応として一般的ではないかとの認識を示した。一方で、文書の記述は「一般論で、私の主張ではない」と説明した。

 議会運営委員会で、内原市議は「地方公務員法違反になるのでは」と指摘。文書を見た与党や中立の議員も驚きの表情を浮かべた。

(照屋大哲)

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