燃料アンモニア広域供給 官民連携 茨城など北関東3県検討

アンモニアサプライチェーン構築・利用ワーキンググループの初会合=つくば市竹園

燃料アンモニアの拠点化と供給網の整備を目指す茨城県などの官民連携組織「アンモニアサプライチェーン構築・利用ワーキンググループ(WG)」(壹岐典彦座長)は30日、燃料の供給先候補として宇都宮市や群馬県太田市を挙げ、北関東3県をまたぐ供給網の整備を検討していく方針で一致した。アンモニアは環境に優しい新たな発電燃料として注目されており、国の拠点整備事業での採択を目指す。

WGは同日、茨城県つくば市内で初会合を開いた。茨城、栃木、群馬3県に事業所のある電力や自動車など関係分野の企業19社が参加し、意見を交わした。

会合では、輸入したアンモニアを茨城県鹿島エリアの受け入れ基地から貨車やタンクローリーで宇都宮、太田両地域まで運ぶ流れについて検討した。茨城港常陸那珂港区や鹿島港には石炭火力発電所があり、県はパイプラインを整備し、アンモニアの供給や港湾間での融通を想定。内陸部にもボイラー使用を想定した拠点のほか、タンクローリーによる輸送網を築くことで、広域供給を想定する。

供給網の拡大には輸送方法が課題となる。茨城県科学技術振興課の小貫智也課長は「供給網が構築されれば県内企業の産業振興につながる」と期待する。

アンモニアは燃焼時に二酸化炭素(CO2)が発生せず、脱炭素に向けた燃料として注目されている。WGは官民連携で茨城県内企業の脱炭素化を促す「いばらきカーボンニュートラル産業拠点創出推進協議会」の下部組織として3月に設置。備蓄場所や調達、供給、輸送、利用などインフラ整備や実証スケジュールの具体化を検討する。

政府は燃料アンモニアの普及に向け、大都市圏3カ所、地方5カ所に燃料拠点を整備する方針で、自治体などを対象に募集する。茨城県は2024年度の申請を目指し、輸送方法や貯蔵タンクなどインフラの検討・調査事業を本年度にも完了させる方針。

会合で茨城県産業戦略部の大竹真貴部長は「脱炭素燃料拠点の構築に向けた議論を加速させたい」と協力を呼びかけた。

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