そば文化、うどん文化という言葉を聞いたことがありますか?
全国でそばを好んで食べる地域か、うどんを好んで食べる地域かを表したものです。
一般的には東がそば、西がうどん。
岡山はうどん文化ですが、岡山県倉敷市でそばの文化を広げよう、地域に貢献しようをコンセプトにしているお蕎麦屋さんがあります。
武野屋 中庄店(たけのや なかしょうてん)は岡山県産はもちろん、信州や北海道の蕎麦どころから厳選した蕎麦粉を使用。
季節や天候によって蕎麦粉の割合を調整し、「打ち立て、切りたて、湯がきたて」にこだわった自家製麺です。
武野屋 中庄店では数種類のかけ蕎麦、せいろ、そしてトマトソースやジェノベーゼソースを使った創作蕎麦が食べられます。
こだわりの蕎麦屋、武野屋が創作蕎麦を生み出したわけとは?
倉敷にある武野屋 中庄店を紹介します。
武野屋 中庄店とは
杉の焼き板の外壁が印象的な武野屋 中庄店。
シンボルツリーのハナミズキが出迎えてくれます。
植栽の周りを囲んでいる外構には、他ではあまり見ない藍色がワンポイントで使われています。
この藍色は武野屋のイメージカラー。
武野屋 中庄店では、藍色の倉敷デニムが使われています。
- テーブルクロス
- メニュー
- スタッフのエプロン
倉敷で地域に貢献し、お蕎麦文化を広めたいと倉敷市下庄(しもしょう)にオープンした武野屋 中庄店。
岡山はうどん文化の地域。
イタリアンなどの創作蕎麦で、若い世代のかたにも蕎麦に興味関心を持ってもらいたいとの想いがあります。
武野屋で味わえるこだわりのお蕎麦はもちろんのこと、創作蕎麦とはいったいどのようなお蕎麦なのでしょうか。
また人気の、おばんざいビュッフェや、蕎麦を使ったスイーツも気になります。
武野屋 中庄店の概要
武野屋 中庄店は岡山県倉敷市下庄にある蕎麦屋です。
駐車場は広く100台以上あり、ゆったり駐車可能。
お店の中には大小個室を合わせ席が150席あり、こちらもゆったりとしています。
店内に入ってすぐ右には明るいテーブル席が、さらに奥には仕切りのあるテーブル席があり、子ども連れでもゆったりと落ち着いて食事ができます。
懐かしい黒電話がのせてある棚や、和モダンにコーディネートされたコーナーもあり、インテリアにもこだわりが。
ゆったりとした店内ですが、週末は訪れるかたが多いので予約をされることをおすすめします。
武野屋 中庄店では、好きなお蕎麦を一つ選び、食べ放題のおばんざいとドリンクバーが付いてきます。
岡山県蒜山産の蕎麦粉や、北海道や信州の全国の有名どころの蕎麦粉を使用。
季節や天候によって蕎麦粉の配合を変え、打ち立て、切りたて、湯がきたてにこだわっています。
また、あたたかいお蕎麦はやや太め、冷たいお蕎麦はやや細め、イタリアンのお蕎麦は平打ち麺とそれぞれの料理に合うよう蕎麦の太さを変えています。
「だしのうまみ」を生かした、おばんざいも人気です。
武野屋 中庄店の営業時間はランチが午前11時から午後3時、ディナーは午後5時30分から午後9時。
倉敷美観地区の近くには、姉妹店の「トラットリア自家製蕎麦 武野屋」、「武野屋別邸」があります。
気になっていたイタリアンの創作お蕎麦と、あたたかい蕎麦をいただきました。
アボカドとスモークサーモンのジェノベーゼおそば
ジェノベーゼとは、バジル、ニンニクと松の実、オリーブオイルを使ったソースのことです。
グリーンのジェノベーゼソースに絡んだ平麺のお蕎麦の上に、細く削ったチーズが降りかけてあります。
その上にくるりと巻かれたスモークサーモンが三つかわいらしく横に並んでいて、レモンの輪切りが添えられています。
ジェノベーゼソースの緑とサーモンのサーモンピンクとレモンの黄色がとても爽やか。
ふわりとかけられているチーズの香りが食欲をそそります。
お箸で麺をつまみ上げると、そのフィットチーネのような平麺は確かにお蕎麦。
お蕎麦の中に見え隠れする1cm角くらいにカットされたアボカドもうれしい。
ジェノベーゼのソースが絡んだ平打ちのお蕎麦は心地良い歯ごたえで、濃厚なソース、アボカドのクリーミーさ、スモークサーモンの燻製の香りと塩味がとてもよく合います。
黄ニラの卵とじおそば
あたたかいお蕎麦の上に卵とじと、5cmくらいにカットされた岡山県産の黄ニラが贅沢(ぜいたく)にのっています。
黄ニラは岡山が発祥と言われ、明治時代から栽培されている歴史があります。
普通のニラを光を遮断して栽培することによって、葉緑素の発生を抑え黄色に。
収穫した後に太陽光にあてることで鮮明な黄色になり、見た目が美しいだけでなく、生で食べられるほど柔らかく甘味もあります。
かけつゆは、ほんのり甘く味付けされていて、「だしのうまみ」を感じます。
蕎麦はやや太めに切られており、温かいかけつゆがほどよく絡み、蕎麦の香りが口に広がります。
つるつるとなめらかなお蕎麦と、ふわふわの卵とじと、黄ニラのシャキシャキとした食感がとても楽しい。
お蕎麦の香り、だしと卵とじの旨み、貴重な黄ニラの甘味が口に広がる贅沢(ぜいたく)で優しい味のお蕎麦です。
おばんざいビュッフェ
六つに仕切りがしてある木の箱に、自分で豆皿を入れて好きなおばんざいをよそって食べるビュッフェスタイル。
豆皿やお蕎麦の器に使われているのは長崎の波佐見焼(はさみやき)。
器はトラットリア自家製蕎麦 武野屋と同じものです。
波佐見焼も武野屋カラーの藍色の物をそろえています。
お皿に湯飲み、ぽってりと手に馴染む焼き物で、柄がなんともかわいらしい。
梅に千鳥、波など、器を選ぶのも楽しいひととき。
また、おばんざいビュッフェコーナーの各お料理の大皿にトングはついていますが、専用のマイトングも用意されています。
おばんざいは季節の素材を生かした料理が約40種類。
そのなかから気になる料理を選んで食べました。
だし巻き卵は、「だしのうまみ」を感じられる一品。
大根と茎わかめのサラダは爽やかな紫蘇の香りが口に広がります。
豆アジの南蛮漬けは、小さなアジが丸ごと揚げられていて玉ねぎなどの香味野菜が添えられています。
それぞれがていねいに作られていて目にも美味しい。
ついつい食べすぎてしまいます。
店内人気No.1の大学いも「きび砂糖のほっこり大学いも」は、さすが人気があるとうなずける味。
ちょうどいい甘さ、さつまいもの濃い味、絡んでいる飴も美味しい。
蕎麦を使ったスイーツも外せません。
蕎麦粉の一口ドーナツ、蕎麦粉のかりんとう、蕎麦茶のプリンをいただきました。
蕎麦粉の一口ドーナツは、蕎麦の香ばしさが広がります。
蕎麦粉かりんとうはポリポリと食感が楽しくて止まりません。
蕎麦茶のプリンは真っ白でふるふるとしていて、口に入れるとそのやわらかさにうっとりします。
それぞれに蕎麦の存在感がしっかりと感じられるスイーツ。
蕎麦のスイーツも、その日その日で、若干メニューが変わります。
いつもではないのですが、蕎麦粉を使ったシュークリームがお目見えすることもあるそうですよ。
武野屋 中庄店の想いや、おすすめのイタリアンの創作蕎麦やおばんざいについて、フロアリーダーの田村尚子(たむら なおこ)さんにインタビューをしました。
武野屋 中庄店の田村尚子フロアリーダーにインタビュー
倉敷に対するこだわり
──武野屋 中庄店がオープンした経緯は?
田村(敬称略)──
岡山の地域に貢献したい、蕎麦の文化を広めたいと武野屋 中庄店として3店舗目にオープンしました。
武野屋グループの社長も、トラットリア自家製蕎麦 武野屋の店長も、実の兄弟で倉敷出身。
二人とも倉敷市酒津の出身なので、武野屋は倉敷でないとお店を出さないというこだわりがあります。
また、なるべく地域のものを使いたいとの想いも。
実は暖簾(のれん)もメニューも、私たちのエプロンも倉敷デニムなんです。
地域に貢献がしたいという思いがあり、お店で使う黄ニラも、ほうじ茶も、蕎麦粉もお米も岡山県産です。
イタリアンの創作蕎麦について
──なぜ創作蕎麦を提供されているのでしょうか
田村──
岡山はうどん文化の地域です。
本格的な蕎麦屋は、数も少ないですし、あまり馴染みがないようです。
岡山にお蕎麦の文化を広めるきっかけになればと、イタリアンなどのお蕎麦を作りました。
イタリアンのお蕎麦ということで、若い世代のかたにもお蕎麦に興味関心を持ってもらい、食べてもらえたらと思います。
──和蕎麦と、イタリアンのお蕎麦の配合は違うのですか?
田村──
配合は同じです。
切り方がそれぞれちがいますが、蕎麦自体は同じ物ですね。
あたたかいお蕎麦は太めに、冷たいお蕎麦は細めに、イタリアンは平麺にと料理に合わせて切り方を変えています。
冷たいお蕎麦は水で締めますし、イタリアンは炒めますので料理の過程は確かに違いますね。
お蕎麦とおばんざい
──2023年6月現在、武野屋 中庄店さんで出されているお蕎麦やおばんざいは何種類くらいありますか?
田村──
種類も楽しんでいただきたいので、あたたかいお蕎麦、冷たいお蕎麦、イタリアンのお蕎麦、合わせて15~16種類用意しています。
トラットリア自家製蕎麦 武野屋とは若干メニューが違うんですよ。
おばんざいは約40種類で定番のものもありますが、季節の素材を使った物や新しいメニューもあります。
春はタケノコでしたが、夏が近くなると少し暑くなるのでナスを使ったもの、本格的な夏にはゴーヤを使ったおばんざいも出てくると思います。
──田村さんのおすすめの蕎麦とおばんざいは?
田村──
お蕎麦でいうとジェノベーゼ、黄ニラと卵とじのお蕎麦、和牛お肉のお蕎麦。
おばんざいは、豆アジの南蛮漬けが好きですね。
定番のエビマヨは甘めのかくし味が効いておいしんですよ。
あと野菜のナムルもおすすめです。
ゆったりと食事を楽しんでいただくために
──広い店内でのオペレーションはどのようにされているのですか?大変なのでは?
田村──
店内は広くて大変なのは事実です。
多い時は延べ200人のお客様がいらっしゃいますので、お待たせしないようスタッフと連携をとっています。
おばんざいの品出しの状況やお客様の様子をインカムなどで情報共有し、ゆったりとお食事を楽しんでいただけるようにしています。
──これからの武野屋さんの展望はありますか?
田村──
おばんざいなどのメニューの充実ですね。
あと蕎麦を使ったデザートに力を入れたいです。
蕎麦を使ったデザートは皆さんとても喜ばれますので。
蕎麦粉のシフォンケーキをスタッフみんなが作れるようになったらいいなと思っています。
お客様にゆっくり楽しんでいただけるように、お客様の期待をちょっとでも超えられるようスタッフ一同がんばっていきたいです。
おわりに
本格的なお蕎麦を食べに行くとき、「こだわりのお蕎麦」と想像しただけでうれしくなります。
「え、イタリアンのお蕎麦もあるの?」と少し驚きながらも興味がわいてきます。
イタリアンのお蕎麦は食べるまで想像がつきませんでした。
そして食べてみると確かにお蕎麦で、洋風のソースも良く合います。
武野屋 中庄店は友人と家族と大切な人と、美味しいお蕎麦とおばんざいを食べながらゆったり楽しめるお店です。
きっとイタリアンのお蕎麦に魅了されることでしょう。
ていねいに作られたおばんざいも、蕎麦粉のスイーツも楽しい語らいに花を添えてくれます。
倉敷に遊びに行って、イタリアンのお蕎麦を食べてみませんか?