茅の輪くぐって厄はらう 世界遺産・熊野本宮大社で夏越大祓式、和歌山

半年でたまった汚(けが)れを落として元気に過ごすための「夏越大祓式」で茅の輪をくぐる神職ら=6月30日、和歌山県田辺市本宮町で

 和歌山県田辺市本宮町の世界遺産・熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)は6月30日、「茅(ち)の輪」をくぐり、厄をはらう「夏越大祓式(なごしのおおはらいしき)」を営んだ。

 正月からの半年間で無意識にたまった汚(けが)れを落とし、これからの半年を元気で健康に過ごすための祭典。

 この日は時折強い雨が降る中で営まれたが、県内外から約150人が参列。「形代(かたしろ)」という人の形をした紙に息を吹きかけたり、体をなでたりした後、神職を先頭に、直径2.2メートルほどの輪を左回り、右回り、左回りの順でくぐった。参拝者は「すがすがしい気持ち」などと笑顔を見せ、自宅で茅の輪を作るのに使うというかやも持ち帰った。

 九鬼宮司(66)は「半年に一度の大事な神事。コロナ禍の完全な収束や平和を願うとともに、皆さんが残りの半年を元気で、明日から新しいスタートをしていただきたいという思いで神事を執り行った」と話した。

■鈴緒やひしゃく再び

 熊野本宮大社では夏越大祓式に合わせ、コロナ禍の感染予防のために撤去していた本殿や拝殿に参拝する際に使う鈴緒と手水舎のひしゃくを再び設置するため、清めはらう神事を執り行った。

 7月1日の朝から参拝客が利用できるようにしたいと、この日のうちに設置。拝殿では夏越大祓式後に早速取り付けられ、清らかな鈴の音が境内に久しぶりに鳴り響いた。

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