「高岡発ニッポン再興」その87 早急に「美しき古城公園」実現を

出町譲(高岡市議会議員・作家)

【まとめ】

・高岡古城公園の石垣が、樹木に覆われ見えない状態。

・伐採をスピードアップし、観光客増加を目指すべき。

・「美しい高岡」実現の第一歩は、迅速な古城公園の整備だ。

高岡市の中心部には古城公園があります。日本の名城100選に選ばれている高岡城の跡地です。高岡城は、加賀前田家2代当主、前田利長が築きました。

全体の3分の1が水濠です。その大きさは江戸城弘前城に次ぐものです。今は、美しい堀なのですが、当時は敵の攻撃から守るのが狙いです。水濠に隣接して沼地もあり、鉄壁の防御態勢の城でした。石垣は、築城当時のままと言われています。天守閣こそないものの、名城なのです。加賀藩がその財力を見せつけてつくった城なのです。

金沢市の兼六園の1.8倍の広さを誇っています。磨けば、兼六園を上回ると確信しています。

私は家が近いこともあり、毎朝のように、古城公園を散歩したり、ジョギングしたりしています。

しかし、歩いていても、石垣はよく見えません。樹木が邪魔をしているのです。伸び放題で、ジャングルのようになっているのです。歴史的な美しさを備えているにもかかわらず、陰りが見えているのです。

私は繰り返しますが、「美しい高岡」を取り戻したいのです。高岡市では今年度の予算で6758万円を計上。高岡古城公園樹木管理計画を打ち出しました。具体的には、樹木の伐採などを行います。私はこの伐採などの樹木管理については賛成なのですが、驚くのは、計画の全体の期間です。30年となっています。それほど長い期間をかけると、また木が伸びてくるでしょう。時代も大きく変化するでしょう。

▲写真 樹木で覆われる高岡城の石垣(筆者提供)

今、コロナも落ち着き、外国人含めて観光客を受け入れる絶好の機会です。古城公園の伐採や剪定をスピードアップし、観光客の増加を目指すべきだ思っています。外貨を稼ぐ絶好のタイミングなのです。古城公園は、山町筋や金屋といった重要伝統的建造物群保存地区にも近く、歩いて行けます。また、日本3大仏と言われている高岡大仏の近くです。

高岡市当局は、古城公園の整備で寄付金を募ることについて、検討したいとしています。民間にも協力を仰ぐのは、一案ですが、そもそも、古城公園の整備にもっとお金を投じるべきです。観光への本気度が問われています。

そこで、質問しました。来年度以降、古城公園の整備の予算を増額し、30年かかる樹木管理計画を短縮する考えはあるのか。市当局はこんな答弁をしました。

「少しでも事業期間を短縮するためには、必要な予算を継続的に確保することが不可欠。その財源を確保するにあたり、古城公園を愛し、計画に賛同していただける多くの方々から、継続して協力いただける手法について、検討したいと考えている」。

答弁を聞く限り、予算を増額する気はないようです。市民からの寄付を募っているだけなのです。

「あるものを活かす」。これが地域再生の基本です。そして高岡市の最大の特徴は、歴史と文化です。これが「あるもの」です。それを磨けば磨くほど、高岡の魅力は高まります。「美しい高岡」を実現するための第一歩は、迅速な古城公園の整備です。

トップ写真:樹木が伸び放題で見えにくくなった石垣(高岡古城公園)筆者提供

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