外国ルーツの子どもへの支援、充実へ「連携が必要」 茨城・日立で県内4大学連携シンポジウム

外国人との共生に向けて開かれたシンポジウム=日立市大みか町

外国にルーツのある子どもたちが置かれた環境や支援の在り方について考える茨城県内4大学連携シンポジウムが1日、同県日立市大みか町の茨城キリスト教大で開かれた。日本語教育や子育て支援などを実践する研究者がそれぞれの活動を報告し、県内の現状と課題を共有した。

外国人住民が増え続ける中、多様な文化を尊重し合う子育て環境に関して話し合うのが狙い。茨城キリスト教大が主催し、筑波大(同県つくば市)と茨城大(水戸市)、常磐大(同)が共催した。市民や学生、支援団体、行政関係者ら約180人が詰めかけた。

茨城キリスト教大の岩間信之教授は、日本語指導の必要な全国の児童生徒数が約5万8千人に上り、同じ茨城県内でも県南地域と県北地域の間で取り組みに差がある点を指摘。支援の一層の充実に向け、「行政や団体、学校などの連携が必要」と強調した。同大の中島美那子教授は子育て世帯を支援する学内プロジェクトについて発表した。

筑波大の澤田浩子准教授は、県内の別々の学校に通う中学生にオンラインで日本語を教える学生サポーターの事業について報告。活動4年目で対象が15市町村21校に増える一方、サポーターの質の維持が課題だとし、「広域事業のメリットが生きる適正規模を模索したい」と語った。

常磐大の飯野令子教授は水戸市内の日本語教室について紹介。茨城大の福村真紀子助教は人間関係づくりを重視した親子サークルの活動を報告した。

開会に先立ち茨城キリスト教大の上野尚美学長は「外国にルーツある子は県内各地に散在し、一つの組織では対応しきれない。これを機に子どもたちを支える強固なネットワークが構築できることを願う」と述べた。

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