戦災がれき撤去、道半ば 日本支援も担い手不足

ロシア軍の侵攻で破壊されたウクライナの首都キーウ近郊イルピンで、がれきの撤去作業を説明するキーウ州のボイコ副知事=6月22日(共同)

 【イルピン共同】ロシアによる侵攻で激しい戦闘があり、がれきが多く残るウクライナ首都キーウ(キエフ)近郊イルピンで、日本式のがれき処理方式の構築に向けた試行が進んでいる。東日本大震災を経験した日本の復興支援の一環だが、イルピンを含めたキーウ州だけで2万7千の建物のがれき撤去が必要とされる中、終えたのは400弱。作業の担い手不足などの課題も多い。

 「集めたがれきは州内に31ある一時保管場に運ぶんだ」。イルピンの撤去現場を6月22日に訪れたキーウ州のボイコ副知事が、全壊した住宅のがれきをすくい上げる日本製の重機を指さした。

 ボイコ氏によると、首都郊外を管轄するキーウ州では集合住宅や一戸建てなど住宅の被害が中心だが、200を超える教育施設や約130の医療施設も全半壊した。特に状況が深刻なイルピンでの事業試行が決まり、日本側は将来的に、東部ドネツク州や南部ヘルソン州などウクライナが奪還した地域でも開始したい考えだ。

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