水戸市民会館開館 中心街再興に期待 新たな「顔」魅力向上へ

水戸市民会館(右)と京成百貨店をつなぐ上空通路を行き交う人たち=2日午後、同市泉町

水戸市の新市民会館が2日オープンし、初日から多くの人出でにぎわった。茨城県庁移転や郊外型商業施設の進出で空洞化が叫ばれていた中心市街地に新たに誕生した「街の顔」。市街地の盛衰を目の当たりにしてきた周辺店舗からは「市街地の再興を」と期待の声が上がる。

同館前ではこの日、開館を待ち望む市民ら100人以上が、午前9時の開館前から行列を作った。開館後のロビーは来場者でごった返し、午後0時半に国道を挟んで反対側にある京成百貨店との上空通路が開通すると、買い物帰りの人々も加わって混雑はピークに達した。

同館がある同市泉町1丁目周辺は以前、大型商業施設が立ち並び、長年にわたって街のにぎわいをけん引。しかし、県庁が1999年に移転したり、市内外に大型商業施設が相次ぎ開業したりして空洞化が加速した。

水戸商工会議所などの調査では、市街地の歩行者通行量は1日当たり6万人を超えていた約10年前に比べ、昨年は4万人台。市はこれまで、マイカーで訪れやすいよう地下駐車場などを整備してきたが、街を歩く人の数は減少傾向が続いていた。

「あの頃、街並みは人、人ですごかった」。80~90年代のにぎわいを知る洋食店「れんが家」店主の野上上さんは市街地の盛衰を目の当たりにしてきた1人。近年は新型コロナウイルス禍で耐える日々が続いていたが、「市民会館のオープンで流れが変われば」と集客に期待を寄せる。

同館1階入り口そばに出店した豆菓子店「但馬屋」3代目の三輪朋佳さん(66)は、新たな拠点のオープンに「勇気をもらった」と笑顔。再開発の中心地として、「水戸の街を引っ張ってほしい」と話した。

「中心市街地の魅力は減り、人口減を肌で感じていた」と話すのは、68年創業の喫茶店「BENZ(ベンツ)103」(同市泉町2丁目)オーナーの雨ケ谷出水さん(59)。同館と京成百貨店、水戸芸術館の相乗効果で「開館から往来が活発になれば」と語り、市街地の魅力向上とにぎわい復活を願う。

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