ストレスが引き金に…“魔の月曜日”に突然死のリスク大

心筋梗塞の発生は月曜日に多いという(写真:アフロ)

《週の始まり月曜日は危険!》

英国の心臓血管学会(6月5〜7日)において「心筋梗塞は月曜日に多く発生する」という研究結果が報告された。血管が詰まったり狭くなったりして、心臓の筋肉細胞が機能しなくなり突然死を招く心筋梗塞。報告をした研究チームは約1万人のデータから、月曜日はほかの曜日と比べて13%も心筋梗塞の発生リスクが高かったことを明らかにしたのだ。

「たしかに月曜日は要注意です」

そう警鐘を鳴らすのは石黒クリニック(岐阜市)の石黒源之院長。37年間の臨床医時代、救急車で運ばれてくる患者数が曜日によって変化することに気がついたという。

「不思議なことに、心筋梗塞や脳の血管が詰まったり破れたりする脳卒中の発生は、月曜日が突出して多かったのです。私も心筋梗塞860例の発症データを分析しましたが、やはり月曜日が多かった。これは週初めで仕事の密度が高まる、オフからオンへの切り替えがスムーズに行われないことによるストレスが原因と考えられます。特に血圧が高いとか、血管が老化して硬くなる動脈硬化などの血管トラブルがある人にとっては、月曜日のストレスが大きな病気の引き金となるのです」(石黒院長、以下同)

仕事が始まる月曜日を前にして気分がさえなくなる「ブルーマンデー」があることは知られている。それが気分だけでなく血管のトラブルを悪化させているのだという。さらに気がかりなのが、血管トラブルは暑い日が続く夏に増えるという点だ。

「心筋梗塞や脳卒中は冬の寒い時季に起こりやすい病気と思っている人も少なくありません。しかし、夏も冬と同じくらい発生します。暑くて汗を多くかき、体内の水分が不足して血液はドロドロになりがち。血管を詰まらせる血の塊である血栓ができやすくなるのです。さらに、寝苦しさによる睡眠不足、台風などの低気圧、室内と屋外の寒暖差など、夏は血管がダメージを受けやすいのです」

血管トラブルのリスク要因を抱えたまま月曜日を迎えることで、突然死の危険が迫るとは。どうやって乗り切ればいいのだろう?

「月曜日に限らず、ストレスがまったくない社会は考えられません。ストレスと上手に付き合うことが大切です」

“魔の月曜日”を迎えないためには、日曜日の過ごし方が重要だ。

「できれば日曜日の日中は、太陽の光を浴びながら軽い運動をするなど体を動かし、副交感神経を上げて、血管を拡張させておくこと。休みだからと昼まで寝ていたり、ソファで横になっていたりすると血流が悪化し血液がドロドロになります。木々の香り成分フィトンチッドには、数日にわたりストレスを軽減させる働きがあります。そのため森林浴はおすすめです」

特に大切なのが日曜日の夜。意識的にリラックスを心がけよう。

「日曜日の夕方から気分がめいってくる『サザエさん症候群』といわれる症状は、誰にでも当たり前に起こること。日曜の夜は気分が沈むのは当然と捉えることで、少しは気が楽になるはずです。交感神経を高めるスマホやパソコンの使用は避け、好きな音楽や香りを楽しむほうがいいでしょう。お酒も少し飲むのは結構ですが飲みすぎはNG。深酒は脱水を招き、翌朝の血液の粘りが増してしまいます。副交感神経を優位にすれば睡眠の質もアップし、翌日のストレスも上手に受け流すことができるでしょう」

日曜夕方から気が重くなるのはみんなにあること。そう割り切って、自分を上手にリラックスさせてあげよう。

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